(前置きは同じテーマで前に書いた記事 と同じです)
最近知ったのですが、首都圏など中学受験が盛んな地域では
コロナやインフルエンザに感染して入試に行けなくなることを防ぐために、1月から2月上旬の入試日まで学校を休む(親が休ませる)ことが多いらしいですね。
よって都会の小学校では6年生のクラスの1/4や1/3(もっと?)が欠席しているらしいです。
家庭によっては兄弟姉妹まで感染症防止の為に欠席させているそうです。
座学は各自の理解に合った復習(つまり講義ではない)、体育は2クラス合同でやっていたりするらしいです。
すごいことになりましたね・・・。30代はびっくりですよ。もう平成とは違うんですね(笑)
今回は、中学受験を推奨も反対もしない中立的な立場からこの件を考えてみようと思います。
結論から先に言います。
①入試直前に学校を休ませるのをやめさせたいなら、中学入試にも小学校の調査書を必須にして、年間の欠席日数が◯日以上だと受験資格を失うことにするか、入試直前に◯日以上欠席すると受験資格を失うことにするしかないのではないか?
②入試直前の感染症予防のための欠席(たとえ建前であっても)は以下のどれかに分類されると思う
「不登校」
「親が子どもを働かせて学校に行かせない(明治〜戦後すぐまでの日本にはよくあった)」
「ホームエデュケーション」
③もしかしたら就学義務違反あるいは教育虐待。児童相談所か警察に通報したほうがいいのかもしれない。
(欠席させた子どもの『教育を受ける権利』をどう考えればいいのか?)
(憲法と子どもの権利条約で、子どもには教育を受ける権利が保障されている)
①から③を考えました。
まず①ですが、中学受験には小学校の調査書は要らないそうです。
イマドキの高校受験って出席日数も選考対象なのか分かりませんが、少なくとも私の時の公立高校入試では出席日数も選考対象でした。
こう見えて私は不登校ではなかったためあまり気にしたことがないのですが、出席日数が規定よりも足りないとそもそも受験すら認めてもらえなかったそうです。
今はどうか知りませんが。
これが良いことなのか分かりませんが、感染症対策を理由に入試直前に小学校を休むのが許せないなら、入試に調査書を必須にして入試直前に欠席の多い児童には受験資格を与えないか、ペーパーテストの結果に関わらず不合格にするのが有効だと思います。
次に②について。
(建前論であっても)感染症対策を理由にした小学校欠席、というものが従来のどの欠席のタイプに当てはまるのか考えてみました。
しかし、結論は出ませんでした。
・「不登校」…学校や先生が合わない、いじめられる、原因は不明だけど登校しようとすると朝起きられなかったり気持ち悪くなったりする、というのが従来の不登校です。
不登校は子ども本人の意志によるもの(いじめられるから、とかあの先生に会いたくないというのはそうでしょう)、あるいは原因不明の体調不良発生が不登校の原因であるため、これまで就学義務違反や教育虐待(後述)とは見なされてきませんでした。
文科省も不登校を問題行動と見なしてはいけないとか、その子に合った学びの場を学校以外で確保するのが重要だという方針です。
私もその方針には賛成しますし、上に書いたような不登校を就学義務違反や教育虐待と見なすことには反対します。
上に書いたような不登校生には「学校に行かなくても生きてていい」と安心できる社会環境や人間関係が必要です。
そういう環境を作るのは直接子ども達と関わらない「世間の大人達」の意見や、不登校に対する見方も必要だと思っています。
さて、いよいよ「入試直前の欠席」が「不登校」なのかという考察ですが、これはケースバイケースだと思います。
しかし「親が子どもを感染症から守るために率先して欠席を決めて欠席させる」というのは、「不登校」には当たらないと思います。
子ども本人の意志ではなく親の方針で欠席を決めたからです。
反対に子ども本人の意志で感染症から身を守るために欠席を決めたのなら、「不登校」かもしれません。
次に「子どもを働かせるために学校を欠席させる」に該当するかどうかです。
もう過去50,60年ぐらいはこういう欠席事例を見かけてないと思いますが、明治から戦後すぐにかけてはよくあるケースでした。
学校制度ができたばかりの頃は親が学校の重要性を分からずに子どもを家の仕事の手伝いに従事させて学校に行かせないとか、学校制度ができて久しくなっても家が貧しい(親が教育の重要性を分かってない)ので子どもを学校に行かせず働かせた、というのはよくあることでした。
余談ですが、長男より次男以降、男の子より女の子の方が被害にあっていたと思います。
だからこそ戦後すぐにできた現行憲法では親に「教育を受けさせる義務」を定め、子どもには「教育を受ける権利」を保障しました。
(当時は『教育を受けさせる』は『学校に行かせる』と同じ意味でしたが、今では違います。
フリースクールなど学校以外の場で教育を受けさせた場合も、後述するホームエデュケーションのように家で学ばせた場合も義務は果たしています)
前置きが長くなりましたが、「入試直前の欠席」はこれに当てはまるのか?
私は肯定も否定もできません。
受験勉強を「労働」と見なすなら親は「教育を受けさせる義務」を果たしていませんが、受験勉強も勉強です。
しかし学校では体育や音楽など学校でしか学べない科目もあるので
、それらを受講させる機会を奪っているという意味では、子どもを働かせて学校に行かせない80年ぐらい前の親とやってることは同じようにも見えます。
さて「入試直前の欠席」は「ホームエデュケーション」に当たるのかどうか、という疑問です。
ホームエデュケーションとは、子どもが学校ではなく家で学ぶという意味です。
世界的には割と普通の選択肢らしいですが、海外の事情はよく知らないので割愛。
家の机でひたすらドリルをやってるイメージですが、図書館で好きな本を借りて読むとか工作をするというのもホームエデュケーションらしいです。
恐らく、子どもが主体的に学ぶのがホームエデュケーションだと思います。
不登校との違いですが、実は私もよくわかりません。
しかし何も勉強せずに家に引きこもってる不登校生もいれば、学校には行かない(行けない)けど図書館でいろいろな本を借りて独自に勉強している不登校生もいる、という感じで、後者がホームエデュケーションだと思います。
さて、学校休んで家で中学受験の勉強をするのはホームエデュケーションなのでしょうか?
私は肯定も否定もできません。
ホームエデュケーションには「これをやらないといけない」という規定は特にないですし、受験勉強もホームエデュケーションだと言えば通るのかもしれません。
子どもが自分の意志で中学受験を決めて、自分の意志で欠席して勉強を続けているならホームエデュケーションかもしれません。
しかし、受験を決めたのも欠席を決めたのも親なら「子ども主体の学び」ではないし、ホームエデュケーションとは言えないのではないかな?とも思います。
「不登校」
「子どもを働かせるために欠席させる」
「ホームエデュケーション」
正直どれにも当てはまりそうで当てはまらないと思います。
ここで③「もしかしたら就学義務違反か教育虐待かもしれない」についてです。
(法律や制度の正確な情報は弁護士ドットコムのこの記事
をご覧下さい)
就学義務とは、学校教育法で定めされている「親が子どもを小中学校に通わせる義務」のことです。
不登校は通常、就学義務違反に問われることはありませんが、親の意志で子どもを小中学校に通わせないのは教育ネグレクト(虐待の一種)と見なされる場合があります。
また「教育虐待」とは、平たく言えば「親の意志で子どもの我慢の限界を超えて勉強させること」です。一言で言えば「やりすぎ」「させすぎ」です。
ケースバイケースなので断言はできませんが、志望校合格のために親が子どもに長時間の勉強を強いて、小学校にも行かせないというのは「教育ネグレクト(就学義務違反)」及び「教育虐待」に当たるかもしれない、と個人的には思います。
また、家庭によっては受験生本人だけでなくきょうだいも欠席させて感染症を予防しようとするそうですが、これはきょうだいへの教育ネグレクトなのではないかと個人的には思います。
弁護士ドットコムの記事によると、
教育ネグレクトされてて学校に行ってない(かもしれない)子どもを発見した時は以下の機関に相談することを勧めています。
- 学校
- 教育相談センター
- 児童相談所(189に電話をかければつながる。匿名通報可能)
「芸能活動をしたい」という「子どもの意志を尊重」したら親が就学義務違反で書類送検された事件が2017年にありました。
上記はおそらく80年以上前みたいな「子どもを働かせるために学校に行かせない親」と同じだと見なされたのかもしれません。
一方で書類送検などの警察沙汰にはなってないけど、民間のスクール(インターナショナルスクールやオルタナティブスクール。学校教育法で学校だと見なされないため「学校」とは呼べない)に子どもを通わせていたら教育委員会から「学校に通わせろ」と通告が来たケースもあります。
https://www.chunichi.co.jp/article/282298