スパイ活動(諜報心理)はビジネスでも使える 元公安捜査官が教える「人心掌握術」「人脈構築術」は勉強になる教訓だ。
元公安捜査官が教える「人脈構築術」、諜報心理を使った“5ステップ”とは………。
DIAMOND
稲村 悠 氏:日本カウンターインテリジェンス協会代表理事
<公安捜査官とスパイの共通点>
A社と取引をしたい。A社担当者と人脈を構築し、取引を成功させよ」もし職場において、このようなミッションを与えられたら、皆さんならどうするだろうか?
諜報活動における情報収集の代表的な手法は以下の通りである。
(1)OSINT(Open Source Intelligence):メディアやSNSなど公開情報から収集
(2)SIGINT(Signal Intelligence):通信・信号などの傍受
(3)COLLINT(Collective Intelligence):利害関係を同じくする組織の協力・情報連携
(4)IMINT(Image Intelligence):衛星画像などの分析
(5)HUMINT(Human Intelligence):人的情報源から収集
<金銭による買収が効果的ではない理由>
▪️諜報活動においての鉄則がある。それは、情報源となりうる人物=協力者と関係を構築するには、「信頼関係を構築」するということである。
仮に金銭で買収したとしても、情報源からは常に金銭的要求をされてしまい、それに応えなければ関係は途絶してしまう。そのような手法では、互いに疑心暗鬼になり深い関係は継続しないのだ。
<人脈を築くための「五つのステップ」とは>
(1)選定=対象者を選ぶ
✴︎選定では、人脈を構築したい相手方を選ぶ。ただし、相手方に直接アプローチをするのではなく、紹介者を通じて近づく。なぜなら、紹介であれば相手方の警戒心は弱まるからだ
(2)基調=相手を知る
✴︎基調では、OSINTを駆使して相手方の基本情報(職業、趣味など)を得るだけでなく、相手方の悩みや望みなど、複数の要素を見定める。
スパイは基調の段階から、ある程度相手方の悩みを把握しているのだ。この基調では、特に相手方の「弱み=悩み」に着目する。
(3)接近=相手に近づく
✴︎接近では、偶然の出会いを演出して相手方に出会う
(4)獲得=相手と信頼関係を構築する
✴︎獲得では、相手に先行して信頼を与え、安心させる。相手に対して決して見返りを求めず、相手方に「あなたを信頼している」と見せるために、一定の重要な情報を共有したり、悩みをこちらから先に打ち明けるのだ。
(5)運営=相手を分析・評価しながら関係を続ける
✴︎最後に、相手との関係のメリット・デメリット、状況の変化などを分析・評価しながら関係を維持していく。これが最後のステップ「運営」である。
<相手の信頼を得るための三つの具体的な方法>
❶空間の操作
✴︎相手方との何げない雑談の場や会食時において、主導権を得るために、その場の空間を操作する。
例えば、米国心理学者スティンザーによる「スティンザー効果」というものがある。あなたと対面に座る人物はあなたに敵対的であり、斜め前に座る人物は友好的であるという。
さらに、会食時の店選びも重要である。人間にも帰巣本能があり、自宅に近い場所であれば心理的に安心する傾向にある。こうした人間心理を利用し、相手の自宅に程よく近い会食場所を選ぶことで緊張をほぐすという手法もある。
その他、相手との関係に応じた「距離の操作」や「温度の操作」もあるが、結局は相手にとって心地よい空間をつくり上げることが重要である。
❷ミラーリング×声の操作
✴︎「ミラーリング」は心理学では一般的な手法で、相手の仕草や表情、話し方、行動をまねすることで、相手方に自身に似ていると思わせる手法を言う。
しかし、諜報心理における「ミラーリング」は、一般的なミラーリングとは「深さ」が異なる。相手のまねをするのではなく、相手が大切にしているものを同じように大切に考え、相手に共感する立場を口で示すことで弱みや悩みに寄り添うという手法である。前述した家族の入院の例を思い出してほしい。
さらに、家族の入院に際し、案ずる言葉を、声のトーンや声色を変えて感傷的に伝えるのだ。声のトーンは聴覚的情報において、さまざまな効果(=受け手の印象の操作)が可能となる。
例えば、家族の入院のケースでは、「落ち着き、安心」を印象付けるために低めの声でゆっくりと話してみてほしい。
「ご家族の入院でご不安かと思いますが、私も元気のないあなたが心配になってしまいます。何かお手伝いできることがあれば、遠慮なくおっしゃってください」
あなたの声のトーンから、相手は安心と優しさを感じ、自分の大切な家族を同じように大切に考えてくれているという喜びや安心に加え、家族の入院に対する不安を理解してくれたと思い、小さな信頼を寄せてくれるようになるのだ。
❸コールドリーディングによるコミュニケーションの操作
✴︎カウンセラーや占い師、時には詐欺師も使う手法で、さも相手のことを知っているかのように、誰にでも当てはまる事柄を示し、相手を理解していると見せることで、信頼関係を構築する手法である。
なぜ理解を示すのか。それは、人材系企業による「信頼関係の要素」や「組織内の信頼」に関する各種調査でも、「相手からの理解」が常に上位に位置していることからも分かるように、相手への理解を示すことは、信頼を得る上で重要な要素だからである。
ただし、これではただのペテンに近い。諜報心理では、この手法を応用して、相手に「理解」を示しつつ、「肯定」し、相手の本質(悩み)を引き出す。
✅『相手の弱み(悩み)に対し、人として寄り添い、手を差し伸べる」』
◆ただし、その際、「私が解決しなければならない」などと傲慢(ごうまん)な考えを持ってはいけない。ただ一人の人間として寄り添い、手を差し伸べる姿勢を示すだけでよい。そうすれば、少しずつ、相手は心の内を明かすようになるだろう。
◆結局、人脈として有効な人物を得るためには、その人の本質に正対し、信頼を勝ち取らなければならないのだ。公安捜査官もスパイも、こうして日夜、人と「誠実」に「真摯(しんし)」に向き合っている。
🟦🟩日本カウンターインテリジェンス協会代表理事 稲村 悠 氏の教えの「人心掌握術」「人脈構築術」は、大いに勉強になりビジネスで【成功する為に】必要な必修条件だ。
スパイの「諜報心理」は「ビジネス」に活かせる成功法則だ。
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