以前に須田国太郎の作品は観たことがあるが、暗い感じであまり好きになれない感じであった。しかし、広島市現代美術館の特別展、崇高さに関する抽象的な覚書展で彼の牡丹を描いた作品を観て、この人の絵はいいなと感じ、ちょうど三之瀬御本陣芸術文化館と蘭島閣美術館で彼の特別展があるので観に行くことにした。

 

この2館は広島県呉市の下蒲刈島にあり、橋で渡っていくことになるが、普通車の通行料金は片道だけで730円と高く、美術館やお店など対象施設で1000円以上の買い物をすると復路の通行券を貰える。私は橋からの展望も楽しみたいのでバスで行く。


 

三之瀬御本陣芸術文化館では、初期の作品から絶筆までを網羅的に展示している。初期の作品は一般的に受けが良い感じ(というのは褒め言葉ではないな)である。しかし、全体的に朱色というかベンガラっぽいというか、マゼンダのような色が覆っている独特な絵となっていき、何か不穏さ?みたいなものも感じる。

 


風景画を多く描かれているが、色の層の集まりというか混じり合いというか、暗いトーンの中に平面的に構成されている。

手前に大きく主題を入れるのが好きなようで、椿だったり、猛禽だったりを暗く力強く描いていて、背景とのコントラストを強く出す構成となっている。主役を持って来て、それが生きるように背景を選ぶ構成の仕方は写真的な感じがする。

 


絶筆は明るいトーンの絵になっており、さらに画風を変化している。芸術家は最後の最後まで試行錯誤して己の表現の可能性を探っているのだろう。

 


観て回って一階に戻ると、グリコのおもちゃコレクションが展示してある。何でも彼はグリコのおもちゃコレクターだったそうで、キャラメルを買っても、子供にはおもちゃは渡さなかったそうだ(^0^)。おまけなので簡素な作りだが、バリエーションも多く、よく考えられて作られている。男の子は集めるのが好きだよな~(笑)

なお、写真撮影OKで、SNSでの宣伝を期待している風だった。

一眼カメラを持って来ていたが、展示室だと後ろめたい感じがしてしまうので、スマホでいくつか撮影する。

写真を撮るのは集中力を要するものなのでパシャパシャシャッターを押すのは難しいのだが、1枚1枚撮影している人も居てちょっとビックリした。

撮ってどうするのかなぁ~私と同じようにレビューは書かないでしょうに。絵を描く人かもしれないが、そういう撮り方では参考にならないだろう。

余談だが……写真を見て絵を描くことは否定しないが、写真のレベルを上げないと、駄作の模写と同じで、結果は駄作にしかならない。SNSでそういった絵を観ることがあるが、構図がダメだと思うことが多い。
 

蘭島閣美術館に続く