山で道に迷わない為に(8)-2 地図の使い方供\庵

前回、地図をぐるぐる回してパニックになる女性という例を出しましたが、地図に慣れている人は、実際に見えている景色と地図の向きが逆でも、頭の中でこれらをうまく合致させることが出来ます。空間処理能力というやつです。
一般的に女性はこの空間処理能力が劣る(というか使わない)ので、地図が嫌い・苦手となるのでしょう。

正直言いましょう。私もそんなにこの能力が高いわけではありません。
実際と地図が逆でもある程度読めますが、やっぱり混乱することはよくあります。

では、空間処理能力が劣るのならどうすればよいか?
「鍛えろ!」というのもひとつの答えですが、もっと気軽に考えましょう♪

そう、【地図を回せばよい】のです。

見た目と地図が一緒なら一目瞭然ですよねぇ(笑)。
このように見た目と地図とを合致させる作業を「整置」といいます。

まず地図の磁北線とコンパスの磁針を合わせます。登山口や山頂のように現在地がはっきりしている場合は、地図上のその場所(登山口や山頂)にコンパスを置いて磁北線と磁針を合わせます。
別に狭い机の上で地図を広げているわけではないので、自由に動かして一致させます。

現在地がはっきりしない場合もまず、磁北線と磁針を合わせ、周囲の地形を見ます。予定タイムやチェックポイントからおおよその見当をつけ、地図から読み取れる地形(尾根、谷、目立ったピークなど)と実際に見える景色を合わせていきます。
開けた場所なら、周りの山の頂を2つ選び、それぞれ自分がいる場所と線を引き、2つの線が交わったところが現在地になります。
最初は難しいかもしれませんが、やっていればだんだん慣れてきます。

方向音痴の方でも、正しく地図を使えば迷うことはなくなります。逆に言えば、方向感覚が優れていると過信して地図とコンパスを疎かにすると道迷いに陥ります。

はっきり言っておきます。人間の方向感覚なんていい加減なものです!!!

どんなベテラン登山家でも、太陽や星の見えない状況では方向の維持は不可能です。
「いや、自分は間違ったことがない。」という方。それは気づいていないだけです。
例えば、緩やかにカーブした直線のような道を歩いていると、思っている方向と実際の方向がかなりズレてきます。また、方向を何度も変えるような道では次第に混乱してきます。それでも感覚的に方向が分かるのは、太陽の位置でおおよその検討が出来ているだけです。それがなければ確実に方向感覚を失います。

地図の使い方というと難しそうですが、「整置する」ということが分かれば方向音痴も怖くありません。