先日の乳頭山に続き、奈良県の大峰山系で6人の男女が遭難し、翌日の昼過ぎに無事下山した。
今回も携帯電話によって遭難したことが分かり、早い段階で捜索が出来て無事の生還となった模様だ。

中高年の登山ブームでたくさんの人が山に登るようになった。
ガイドブックも多く出版され、インターネットのホームページでも多くの人が山行レポートを載せており、昔より山に行きやすい環境であるといえる。旅行会社は山登りツアーを企画し、多くの人が参加している。

そんな中、「遭難」と「携帯電話」が問題視されている。

道に迷いどうしようもなくなった時、威力を発揮するのは携帯電話である。
携帯電話がない場合は、帰りが遅いと家族が心配し、山岳会や警察に届を出してそこから捜索が始まるが、携帯電話があればすぐに助けを呼ぶことが出来る。早い段階で捜索隊が動けば生還の確率は高まるので良いことではあるが、いくつか問題がある。

1つ目は、携帯電話がつながる場所は少ないということ。
私は山登りをしている関係でよく分かるのだが、あちこちの山にアンテナが立っていて、全国どこでもケイタイがつながりそうな気がするが、実のところつながる場所は少ない。つながっても途切れ途切れになる場合が多い。

2つ目は、容易に下界と連絡が取れること
「?」と思われるかもしれないが、容易に下界と連絡が取れると、自分が山中にあるにも拘らず、下界にいるという錯覚に陥ってしまうという場合がある。よって、携帯電話を持っているから(いつでも助けが呼べると)安心して、必要な注意を怠る場合がでてくる可能性がある。

前の記事にも書いたが、山登りをする人口は増えているのに、地図とコンパスを持たない(使えない)人が多く、旅行会社の企画する登山ツアーなどでは「連れて行ってもらう」という感覚が強く、コース確認を怠る参加者が多い。
携帯電話という便利なツールがあっても、山に登るひとりひとりが地図とコンパスを使えることや、最低コース確認をガイドブックなのでするなどの”前提条件”をクリヤーしてから山登りを楽しんで欲しいと思う。