もうすぐ進学・進級の季節ですね。
みなさん気になるのが、
クラスメイトと担任の先生ではないでしょうか。
わたしの周りでもちらほら・・・
「今年の先生はよかったけど、来年はどうだろう」
とか、
「あの先生はいいよ~!すごくいい先生!」
とか、
そんな話題が出ています。
「いい先生」ってなんでしょう。
子どものことを親身になって考えてくれる?
勉強を教えるのが上手?
常識的?面白い?
保護者の気持ちをわかってくれる?
細かいところまで気が利く?
子育てをしたことのある人?
自分の身近に、こんな素晴らしい人たち、
わんさかいますか?
こんなスーパーマンみたいな人に出会えたら
それこそラッキーです。
では、保護者は、
どこを見て、その先生がいい先生なのかを判断したらいいのでしょう。
それは、ずばり、
「担任の先生を取り巻く環境」です。

わたしが特別支援学校の教員だった頃の話です。
保護者から絶大な人気と信頼のある
A先生がいました。
その先生は、教育に熱心で、
障害についての勉強を一生懸命していました。
だから、指導も的確。授業もとても素晴らしく、
参考になることがたくさんありました。
それは、しっかりと保護者にも伝わっていて、
この先生にお任せすれば大丈夫!と保護者がみんな
信頼していた先生です。
一方、
保護者から絶大な不人気を誇るB先生。
まず、顔がいつも怖いのです。
気難しそうな雰囲気を出し、少し威圧的な態度をとります。
保護者はみんな怖がるし、
こんな人に子どもを預けるなんて不安、と言う保護者もいました。
みなさんは、どちらの先生が
「いい先生」だと思いますか?
これだけの情報なら、もちろんA先生ですよね。
保護者に見えているのはこれだけの情報なので、
ふつう保護者はA先生を信頼します。
では、
わたし目線の2人
を紹介します。
A先生は、やることが的確で指導力もある。
それは間違いないです。
しかし、特別支援学校は、チームで子どもたちを見ます。
一クラス複数担任制。
一つの授業をメインTとサブTに分かれて
みんなで盛り上げながら、助け合いながら授業を運営します。
A先生は、メインTのときに、
サブTが上手な動きをしないと、
その場で叱ります。
もっともな正論を振りかざして、
ドストレートに叱ります。
子どもたちがいる前で、です。
そして、
「ほんと出来ない人だな」っていう態度を
サブTに示します。
ある日誰かが授業案を書いてきて提案する日、
それがうまく書けていないと、
A先生はチラっと見ただけで授業案をその先生に突き返し
「ぜんっぜんイメージができない!!
みんなもそう思いますよねぇ!!!」
と言って、
周りを味方につけ、
一生懸命授業案を練ってきた人を孤立させます。
でも、A先生の言っていることは正論ですので、
ぐうの音も出ません。
B先生はC先生と同じクラスです。
B先生は、仕事があまりできる方ではありません。
でも、クラス主任のC先生は
うまくB先生をフォローしながらクラスを運営しています。
C先生のクラスは明るいです。
B先生が子どもたちに威圧的な態度を取りそうになると
C先生はそこに入っていって、
わざと面白いことを言って場を和ませ、
B先生の気持ちと子どもたちの気持ちをほぐします。
そして
C先生はさりげなくB先生に注意します。
子どもが帰ってからです。
C先生はB先生を大事にしていました。
C先生は知っていたからです。
B先生が威圧的な態度をとるのは、
しっかりと理由があるときだ、ということを。
子どもに威圧的な言い方をするときは、
子どもたちが喧嘩で危険なことを(ひっかいたり)しそうなときでした。
保護者との面談の時。
保護者に威圧的な言い方をするときは、
保護者が子どもに十分な愛情をかけていない、と感じる発言をしたときでした。
ある日、決定的な出来事が起こりました。
職員室でUSBメモリが紛失したことがあったのです。
「ない!ない!」と誰かが騒ぎました。
その場にいたのは
A先生、B先生。
「さっきまで、H先生がパソコンを使っていた。
きっとH先生が間違えてUSBを持ち帰っちゃったんじゃないかな。」
A先生が言いました。
その頃、職員室は一人一台パソコンはなく、
みんなで数台のパソコンを共有していました。
みんな各自、個人のUSBメモリを持ち、
そこにデータは保存するけれど、
校外には持ち出さない決まりでした。
使い終わったUSBは、教頭が毎日全員分預かる、という決まりでした。
H先生は、おっちょこちょいの先生です。
H先生のUSBが教頭のところに戻っていなくて
H先生は帰ってしまったようだったので(職員室にいなかった)
USBを持ち帰っちゃったのかも、と多くの人がH先生を疑いました。
A先生は
「H先生、机に入れっぱなしで帰っちゃったのかも!机、開けて調べちゃおうか」
と言いました。
そのときです。
B先生が大声で、威圧的な態度でA先生にこう言いました。
「それはしてはいけないことだろ!!!
H先生は何も関係ないのかもしれないのに、
人の机を勝手に開けるな!!!」
それまで、A先生には誰も逆らえなかったんです。
A先生は本当に勉強熱心で、
指導力抜群。保護者にも好かれていて
先輩教員からの信頼もありました。
A先生に叱られても、
授業案を突っぱねられても
誰も、文句を言えなかったのです。
そんな状況の中、B先生は言い返してくれました。
その後、H先生はまだ校内で仕事をしていて
帰宅はしていなかったし、
なくなったUSBは、ほかの人がH先生のものを間違えて持っていただけだったし、
H先生は、結局なにも悪くないどころか、
この一連の出来事に関与さえしていませんでした。
わたしは、心の中でB先生に拍手をしました。

さて、みなさんは、
どちらの先生が
「いい先生」だと思いましたか?
A先生も、B先生も、
人として完璧ではありません。
でもそれは当たり前のことです。
人って、完璧じゃないんです。
わたしは、この例もそうですが、
担任の人柄、人気、よりも、
それを取り巻く環境が
何よりも大事
だと考えています。
それは、確実な実感としてあります。
Aさんの残念なところは、
Aさんを指摘できる人が周りにいなかったこと。
Bさんの良かったところは、
Bさんをうまくフォローしてくれる人が近くにいたこと。
だからわたしは幼稚園を選ぶときに、
その園の方針云々が自分の子に合ってるか
ということももちろんですが
その園の雰囲気を一番に重視しました。
明るいか
先生がみんな生き生きしているか
クラス間・縦割りで頻繁に交流があるか
(幼稚園は基本的に1クラス1担任制なので、
クラス間で交流をして、ほかの先生からの刺激を
子どもも先生同士も受けられるといいな、と思います。)
そんなことを感じて決めました。
だから、
新しいクラス、新しい学校で春を迎える方々、
担任の先生のうわさなんて、
正直ほとんどあてになりませんよ。
もし、その先生を「いい先生」にしたいのなら、
保護者の方が自ら
担任の先生を取り巻く環境になってください。
保護者ができることは
子どもに先生の悪口をいわない
不安要素を言わない
ことだと思います。
自ら子どもに不信感を抱かせて
教員との信頼を壊すほど馬鹿げたことはないですもんね。
そして、勇気のある人は
改善してほしい点などを教員に伝えていいと思います。
本人に、じゃなくても。
クレーマーになってしまいそう、と心配だったら
いい点、助かっている点と合わせて伝えればきっと大丈夫です。
新しい季節。
不安もいっぱいですよね。
でも、
人のうわさに簡単に流されず
自分の感覚を信じることをおすすめします。
人と人って、結局は相性ですから。
極端な2人の例を出しましたが、
二人ともいい先生かどうかは、
毎年違いましたよ。
そして、毎日違いました。
だって、わたしだって
いい母親のとき、だめだめな母親のとき。
いい妻のとき、だめだめな妻のとき。
揺れ動きながら成長していますから。
みんなも、そうでしょ?
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