昨日は、きょうだい児の話を書きました。

わたしもその当事者の一人です。
2つ下の弟は、脳性麻痺です。


昨日の記事はこちらから





さて、わたしが高校3年、
弟が養護学校高等部1年のとき、

大きな変化がありました。







わたしと弟の関係は、
お姉ちゃん(というよりミニお母さん?)と赤ちゃん、のような関係が
子どもの頃からずっと続いていました。






赤ちゃん、というのは言い過ぎですが、
守ってあげたい存在。
抱きしめたり、頭をなでたりといった
スキンシップも多かったし、




家族だから、と、
おむつを替えてあげたり、
お風呂前に服を脱がせてあげたり、
相変わらずわたしは、弟のミニお母さんを続けていました。






わたしが高3になって、
受験勉強を一生懸命やり始めた頃、


それまで、いつもご機嫌でニコニコ笑っていた弟が、
全く笑わなくなりました。


それどころか、
学校から帰ってくると、ずっと、ずーっと、
声変わりをした低い声で


うぉーうぉー


と泣くようになったのです。




それも、毎日のことでしたえーん



はじめのうちは、

どこかが痛いのかな?
大丈夫かな?

とみんなで心配しました。


言葉を話せない弟に、
母が


なにか一つ話せるなら、
どこが痛いかだけでも教えてほしい」


と切実な声で言っていたのをよく覚えています。





一体、どうしてしまったんだろう。

あんなに、あんなに、ニコニコしていたのに。

どうして毎日、大声で、大粒の涙を流して泣くんだろう。






弟の泣き声が大きくて、
わたしは家で勉強ができず、


学校で遅くまで勉強して、
家ではご飯とお風呂に入ったらすぐに寝て、
朝は弟が起きる前の4時台に起きて、
必死に勉強をしました。



休日は一日中図書館です。





夏が過ぎ、秋が過ぎ、冬が来ても、
弟は泣き続けました。




体は健康でした。



ずっと響く泣き声に、
さすがにうんざりした家族は、


弟をリビングではなく
奥の部屋に連れていき、
一人にすることもよくありました


そうすると、泣くのはおさまりました。

でも、ちらっと見に行くと、
また怒って泣くのです。


わけがわかりませんでした。





わたしは、
ひとりぼっちにされた弟がかわいそうで、
泣かれるのも覚悟で、
よく弟の部屋に遊びに行きました。



たまたま虫の居所がいい日は、
一緒に昼寝をしたりして過ごしました。




   

すべての受験が終わり、
大学の合格も決まった頃、
わたしは風邪をひいて家にいました。


その日は休日で、
家族全員がいました。






弟は、いつも通り、奥の部屋にいました。





ああ、大学に通う頃には
この家から出ていくんだな。

弟は、これから大丈夫かな。
泣くのはいつおさまるんだろう。


そんなことをふと考えたときです。


突然、わたしの身体になにかおかしなことが起こりました。





だんだん手足が硬直して、

呼吸が速くなって、


息が苦しくなって、


意識が遠退いていくようでした。




わたしが大変なことになっているのを
母が気づいて、
すぐに救急車を呼んでくれて
病院に行きました。





ひどい過呼吸でした。


初めてのことで、まさか過呼吸だとは思いませんでしたが、
今思えば、相当なストレスがかかっていたんだと思います。





受験の時期に、弟がずっと泣く。

なにも大事な時期でなくても
あの泣き声をずっと聞いていたら、

誰でもノイローゼになってしまうでしょう。



でも、
弱音を吐いたら
弟を見捨ててしまうみたいで


うるさい!と言ったり、もうやめて!って怒ったりとか、
そんなことができませんでした。




溜め込んでいたんです。
そのときは自分でも気づいていませんでした。





でも、そのときに母から言われた言葉で納得しました。



「あれは、きっと思春期なのよ」





今思えば、
本当にその通りです。

あれは弟の思春期だったんです。






弟は、ちゃんと、成長していたのです。



これは、障害のある子どものいる家族なら
誰でも陥(おちい)ることだと思います。




発達年齢(精神年齢)にばかり目がいって、

生活年齢を忘れてしまうこと。




弟が、1歳以下の知能しかないから、といって、

赤ちゃんのような扱いをずっと続けていたわたしは、

間違っていた、と、そのときに気づいたのです。





弟は、15歳になっていたのに。
身体も大きくなっていたのに。



弟のことを、大事に大事にしていて、
もしかしたらわたしは弟に依存していたぐらいだったのかもしれませんが、



弟は自ら、
姉であるわたしや両親と
距離をとっていたんです。


それに、気づいてあげればよかった。




一人でかわいそう、って思っていましたが、

本当は一人になりたかったのかもしれません。



普通の15歳のように。




誰にも構われず
一人の時間を持ちたかったのかもしれません。



普通の15歳のように。





そのときから、
わたしと弟の関係は、


いわゆる普通の


姉と弟の距離感になりました。



困っているときは助けます。
でも、必要以上にベタベタはしません。



当たり前のことだと思いますか?



そんな当たり前のことが、
不思議と見えないこともあるんですよね。




わたしが特別支援学校に勤めていたときも、
このようなご家族は本当にたくさんいました。




わたしが体感として感じた様子では、
ダウン症のお子さんのご家族が多かった印象です。
(わたしが勤めていたのは、知的障害特別支援学校だったので)


人懐っこくて、
甘え上手な子の多いダウン症の子たち。



お父さんのひざに喜んで乗るという女子中学生も何人もいました。




教員は立場上、


生活年齢を考えてくださいね。

あなたの家族にとっては、
かわいいかわいい娘でも、
一般的には年頃の女の子なんですよ。

自分の身を守るのは自分ですからね。
距離感は考えていきましょうね。



と言います。
障害の有無にかかわらず、性犯罪がありますし、自分の身体を大事にする、という話は真剣に伝えています。


そして、そう伝える同僚を何人も見て、
本当にその通りだ、と思いました。



でもわたしは、
ご家族の思いもよくわかります。
自分がそうでしたから。
誰かに言われるまで気づかなかったから。

むしろ、わたしの場合は
障害のある弟本人から距離をとられましたから笑



これは、本当に難しい話です。
でも、大事な話なのです。






次回は、
そんな弟がいるわたしが
結婚するときに起きた出来事と
もう一人の弟との関係について書きますね。




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