しかし内臓、血液、関節などの多くの病気では初期症状が分かりづらく、かなり進行して明らかな症状が出てから来院されるケースが後を絶ちません。
高齢で一般的にみられる病気の初期症状には、次のようなものがあります。
また、初期では全く症状がみられないこともあります。
★ 飲水量、尿量の増加
★ 元気がなくなる
★ 食欲の低下
★ 体重減少
★ 運動不耐性(あまり運動しなくなる)
★ 太りやすい
★ 被毛が薄くなる
このように
「高齢だからこんなもんかな。仕方ないか。」
「ちょっと気になるけど、元気だからもう少し様子を見ようかな。」
などと思わせるような症状が多く、どうしても発見が遅れてしまいます。
<中高齢の犬や猫で一般的な疾患>
・歯科疾患(歯肉炎、歯槽膿漏、歯根膿瘍、口腔内腫瘍など)
・内分泌疾患(犬:副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、糖尿病など)
(猫:甲状腺機能亢進症、糖尿病など)
・腎臓病
・膀胱炎
・便秘
・前立腺疾患
・心臓病(僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症など)
・肝臓、胆嚢疾患
・関節炎
・腫瘍
・その他
もちろん全ての病気が完治するわけではありませんが、病気の早期発見、早期治療には下記のような様々なメリットがあります。
① 治療の成功率をあげる
② QOL(生活の質)の向上
③ 病気の進行を遅らせる
④ 疼痛の緩和
⑤ 生存期間の延長
逆に言えば、進行してからのメリットは何もありません。
治療もより困難になり、大きなリスクを伴う手術が必要になる事もあります。
強い痛みや苦しい思いをさせてしまうかもしれません。
また長期間の入院や大量の薬が必要になる事もあります。
<一般的に動物病院でよく実施される健康診断>
・身体検査(眼、耳、口、心肺検査、関節・神経検査、腹部触診など)
・糞便検査
・尿検査
・血液検査(一般血液検査、血液生化学検査)
・レントゲン検査(胸、腹部)
・エコー検査(心臓、腹部)
大切な家族である犬や猫のため、そして大好きなご家族である飼主様と1日でも長く一緒にいられるように、6~7歳頃からの健康診断をお勧めします。(もちろん、もっと早くから始めてもOKです!)
「まだまだ元気だな」と思えるうちに考えてみて下さい。
※ 犬や猫の1年は人間の約4年に相当すると言われています。これは1年で人間の4年分老化するという事です。そのため1年に1回の検査では間に合わない病気も多々あります。大変ですが10歳以上の高齢の動物では年に2回以上の検査が理想的です。