てんかんとけいれんの違い、ご存知でしょうか?
よくわからない、という方が多いと思います。
そこで今回は、これらを正しく理解出来るように、少しまとめてみました。
ちょっとややこしい内容になるかもしれませんが、ご了承下さい。
まず、“てんかん”とは「様々な原因によって発作を起こす脳の病気」のことを言います。
“てんかん”という病気で起こる発作を“てんかん発作”といいます。
そして、てんかん発作の主な症状に“けいれん”があります。
すなわち、『てんかん≠けいれん』なのです。
つまり「てんかん」という病気になると「けいれん」を起こす事がある、ということになります。
しかし、けいれんの原因には、このてんかん以外にもあります。
中毒、肝性脳症、腎不全、低血糖、低カルシウム血症など様々な脳以外の原因で起こる事があります。
次に、脳に原因がある「てんかん」についてですが、
これも大きく2つにわけることができます。
①特発性てんかん
脳に明らかな病変がみられないのに発作が起こる病気です。
②症候性てんかん
脳に病変がみられます。例えば外傷、脳腫瘍、脳炎、水頭症などがあげられます。
このように、けいれんの原因は様々です。
けいれんが起きたからといって、けいれんを抑えるだけの治療をすればいいというわけはありません。
このけいれんは、脳に原因があるのか(てんかん)?
それとも脳以外の原因があるのか(てんかんではない)?
そして、てんかんであれば特発性なのか?症候性なのか?
身体検査、血液検査、レントゲン検査、エコー検査など様々な検査が必要にあります。さらには脳の中を確認するためにはMRI検査をしなければなりません。
年齢や犬種などにより、ある程度原因を推測する事が出来るかもしれませんが、見た目だけで100%判断する事は不可能です。
どんな病気でも共通することですが、正しい診断により正しい治療を開始する事が、結果的にはわんちゃんの負担やリスクを軽減することができるのです。
~補足~
短時間で止まる一時的なけいれんでは、すぐに命に関わる可能性は高くありません。
しかし、発作が止まらなくなること(重責発作)や何回も続けて起こること(群発発作)があります。これらの症状では救急処置が必要です。すぐに病院にかけつけて下さい。
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中村