犬と猫の慢性腎臓病(慢性腎不全)と血液検査 | アイリス動物病院__________犬と猫の病気 & 看護師日記

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大阪府羽曳野市にある『アイリス動物病院』です。
「犬や猫の病気について」と「看護師日記」を掲載していきます。
大切な家族であるわんちゃん、猫ちゃんが健康で長生きしていくためのお役に立てればと考えています。
是非ご覧下さい。

近年のワンちゃん、ネコちゃんの死亡原因の割合が高い病気として、ガン心臓病に並び「腎臓病」があげられます。


腎臓の異常を調べる検査として、動物病院ではよく血液検査(BUN:血中尿素窒素、Cre:クレアチニン)や尿検査が実施されています。
お家のワンちゃん、ネコちゃんでも検査された事がある子はたくさんいると思います。

$アイリス動物病院のブログ-腎臓犬


今回はその中でも、血液検査に関するお話をしましょう。

血液検査でよく誤解される事なのですが、
「BUNやCreが少し上昇している=腎臓の機能が少し落ちている」
と思われてしまう事です。
実際にはその逆で、
「BUN、Creの軽度の上昇=腎機能がかなり落ちている」ことになります。


動物病院で腎臓病の重症度判定によく使われているIRIS(the International Renal Interest Society - 国際獣医腎臓病研究グループ)による分類表を見てみましょう。
$アイリス動物病院のブログ-IRIS分類

ステージ1→4になるにつれて重度、いわゆる末期に近づくという事です。

・・・ちなみに、当院のアイリスとは何の関係もありません。
話はそれますが、時々「チェーンですか?」と聞かれることがありますが、全国各地にあるアイリス動物病院さんとは全く関係ありませんので。。。


このようにBUN、Creともに軽度上昇しているだけでも、すでにステージ2の段階にあり腎機能は残り33~25%ということになります。(67~75%の腎臓がすでに働かなくなっているという事です)

しかし、厄介な事にステージ2~3になるまではほぼ何の症状も示しません。元気もあり、食欲もあります。しかし中には飲水量や尿量が増加することに気付かれることで、比較的早期に発見出来ることもあります。
その他にもGFR(糸球体濾過量)、尿中微量アルブミンなど、さらに精度の高い検査もありますが、話が長くなるのでまたの機会にしておきましょう。

人も同様ですが、腎臓は一度ダメージを受けて壊れてしまうと、移植以外には回復する事はありません。要はお食餌、お薬、点滴などを駆使して、残っている腎臓をどれだけ長く保持させてあげれるか。これが1番の治療目標になります。

始めにお伝えしたように、腎臓病は死亡原因の多数を占めるようになって来ています。7歳を過ぎシニア期に入ったワンちゃん、ネコちゃんは1年に1~2回の健康診断を受けさせてあげましょう。

アイリス動物病院
院長