尿が赤い!(血尿について) | アイリス動物病院__________犬と猫の病気 & 看護師日記

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大阪府羽曳野市にある『アイリス動物病院』です。
「犬や猫の病気について」と「看護師日記」を掲載していきます。
大切な家族であるわんちゃん、猫ちゃんが健康で長生きしていくためのお役に立てればと考えています。
是非ご覧下さい。

「おしっこに血が混じっている!!」

このような主訴で来院されるケースがあります。

また、
「以前血尿をした事があるんですが、様子を見ていたら治っちゃいました。」
と言われているのも聞いた事があります。


「血尿=膀胱炎」


と思われる方が多いようですが、実際には様々な原因があります。



実は、尿が赤い場合には、大きく分けて次の3つが考えられます。

①赤血球尿

②血色素尿

③ミオグロビン尿


少し分かりにくいので、もう少し詳しくみていきましょう。




① 赤血球尿(出血による血尿)

尿に血液が見られる場合には、尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)や雄の前立腺などから出血が考えられます。また雌では子宮や膣から出血してる場合にも外陰部からの出血が見られます。


<出血の原因>

腎結石、腎盂腎炎、尿管結石、膀胱炎、膀胱結石、尿道炎、尿道結石、腫瘍、
外傷、前立腺炎、前立腺腫瘍、凝固障害(血小板減少症、播種性血管内凝固症候群)など



② 血色素尿(ヘモグロビン尿)

体内で短時間に大量の赤血球が破壊される事により、肝臓や脾臓での処理が間に合わず、赤い色素が尿中に排泄される事が原因です。


<溶血の原因>

免疫介在性溶血性貧血、バベシア症、ヘモプラズマ症、フィラリア症、
タマネギ中毒、薬物や毒物など
 


③ ミオグロビン尿

筋肉の細胞が破壊(融解、壊死)される事で、筋肉内に含まれるミオグロビンと言われる蛋白が血中から尿中に排泄される事が原因です。


<原因>

急性筋炎、過剰の運動、長時間の発作など



この中で最もよくみられるのは腎臓・膀胱疾患による「赤血球尿」です。

細菌感染であればお薬での治療になりますが、結石や腫瘍であれば療法食、外科手術、抗がん剤などが必要になります。

またこれらの病気を鑑別するためには、尿検査だけでなくレントゲン検査や超音波検査などが必要になる事もあります。


~~膀胱結石の例(レントゲン写真)~~

 


しかし、血尿も様子を見ていると肉眼では分からないくらいに出血量が減る事があり、見た目ではあたかも治ってしまったように感じる事もあります。また膀胱炎でよく見られる頻尿(何度も少量の尿をする)も必ず見られるわけではありません。


そのため、様子を見ている間に膀胱から腎臓への感染拡大、結石の拡大や尿道の閉塞、腫瘍の拡大や転移など、結果的に大切な犬や猫たちを苦しめてしまう事になりかねません。


血尿や頻尿等が見られる場合には、必ず早期に動物病院にご相談下さい。



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