「犬って風邪を引くの?」
飼い主さんに、よくこんな事を聞かれます。
答えは、どちらも「No」です。
人から犬、犬から人、どちらも伝染することはありません。
犬には風邪といわれる病気はありませんが、犬には犬伝染性気管・気管支炎(ケンネルコフ)といわれる「咳」を主な症状とした風邪のような病気があります。
※ 他の病気でも同様に咳をする事があります。
例)心臓疾患、フィラリア症、気管虚脱、腫瘍、ジステンパーウイルスなど
~どんな症状~
・軽度であれば、咳以外にはほとんど問題はなく、胸部レントゲン検査、血液検査および血液生化学検査でも明らかな異常はみられません。
・病状が進行すれば、元気がなくなり、食欲の低下、発熱などの症状に加え、白血球増加症、気管支の異常などがみられます。
・さらに進行すれば、膿性の鼻汁や眼脂(黄色~緑色の鼻水、目ヤニ)、さらには肺炎を引き起こすことがあります。
免疫力が弱く、環境の変化などによるストレスを受けやすい子犬での感染が多くみられます。

~ケンネルコフの主な原因は?~
パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス2型、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、またマイコプラズマなどの複合感染と考えられています。
上記のような咳、くしゃみなどの症状のある犬との接触が感染の原因となります。
~感染の軽減、予防法は?~
・病気を持っている犬との接触を避ける
・混合ワクチンの接種
・十分な栄養
・ストレスの軽減
・ケージ、餌入れ、水入れなどの十分な消毒
・飼い主さんの手の消毒
・部屋の換気
伝染力の強い病気です。また感染後2~3ヶ月は他の子へうつす可能性があります。病気の進行、感染の拡大を避けるために十分な注意が必要です。
アイリス動物病院
中村