あの頃の私は
自分が女性の体になるのがすごく嫌で
子供のままでいたい、性の対象として見られたくないと思っていました。
でも体はどんどん大人に近づいてしまって、
クラスメイトに胸を鷲掴みにされたり、
父が母と間違えて炬燵の中で下半身を触ってくる事もありました。
下着の中に指が入ってきて流石にヤバイいと思って「え?」と皆にわかるようにわざと声を出し、冷ややかな目で父を見ると
「母さんと間違えた」と笑い、
普段からスキンシップが多い父なので、
私の奥隣に座っていた母もすぐ察して笑っていました。
叔父達もショートパンツを履いている私の太モモを、ゆっくりと触れてきた事がありました。
叔父の1人は母や姉のお尻も触る人で
私がピアノを弾いている時に突然横に座ってきてニヤニヤしながら、
末っ子の叔父は車の中で葛藤するように怖い顔で、
触り続ける間、私は叔父を冷めた目で睨んでいるのですが、
痴漢中の男は欲望が先にたつのか
2人とも気づかず、満足するまで?
いや欲望が抑えられるまで?触っていました。
子供だからこれくらい大丈夫だと思ったんでしょうが、
あぁ、コイツらもダメか
と私の中で要注意人物になりました。
※
小学校6年生になり
もうダメなのはわかっていたのに
私はまだ子供だから!と主張し、
お風呂上がりもわざと着替えを持たず、
そしてバスタオルもちゃんと巻かず
軽く手に持つだけで、
着替えがある部屋まで裸のまま取りにいっていました。
ある日の夕方、
お風呂から出てリビングを開けようとすると
話し声が聞こえた気がしました。
「あれ?おばさん来てるのか?」と思いましたが
シンッと静まったので、
気のせいかな?こんな時間に来ないよね?と思い、
とりあえず30センチぐらい開けてみると
「着替え持って行きなさいって、いつも言ってるじゃない!」
と襖の左側に座っていた母が呆れてこっちを見ました。
「はぁ」めんどくさいと思った瞬間、
「あちゃぁ~!女の子が裸で出てきて!」と驚いたおばさんの声もしました。
「まさか!?」と思っておばさんの右隣を見ると
耳まで真っ赤になったBが、顔をそらしました。
祖父はいつもの事なので、気にしていません。
流石に気まずかった私は襖を閉め、
遠回りして服のある部屋まで行き、
また遠回りをして自分の部屋に閉じこもったまま、リビングには行きませんでした。
私が迂回したのは、音で皆気づいています。
Bは兄のような存在でもあったし
別に裸を見られても構わないと思っていた。
だから裸を見られて恥ずかしいというより、
Bでさえ私を女として完全に意識してしまうほど、体が成長してしまっていることが辛かった。
もう子供ではいられない。
私はもう逃げられない、ダメなんだ。
その時がきてしまったのかとやっと諦めがつき、
その日を境に、もう女性の体になる事を受け入れました。
今思えば、私のデリカシーのない行動が問題だったのでしょう。
次からBは来なくなり、おばさんだけになりました。
母が「おばさんが来たよ!」と
リビングから出てきたので、
私は隣の部屋にあるリビングに行こうと
自分の部屋の椅子から立ち上がろうとすると
それを静止するように
「Bは来てない!」と母が言い放ち、台所に消えました。
それがおばさんの意向か、Bの意志かはわかりませんでした。
でも、ずっと会っていないBの姉(E)と同じように、
中学生になっていたBも
大きくなってしまったから
Bの意志で来なくなったんだと私は思いました。
当時の小中学生は携帯を持ってないのが普通で
お互い個人的な連絡はとれない。
私が携帯を持ったのは上京後、大学生の時でした。
Bの家は車が無いと行けない場所にあり
Bの父が人を家にあげるのを嫌がるようで
私の母や父が行っても
おばさんは絶対に人を家にあげませんでした。
DVでも受けているのか、おばさんはBの父を怖がっていた。
私も祖父と一度だけBの家に行った事があるのですが
「お前は車で待っとけ」と言われたままで、
誰にも会うことなく、すぐに帰りました。
私はBの家を正確には覚えておらず、
会いに行く事は不可能でした。
Bが家に来るのを待つしかなかったんです。
Eと同じなら葬儀にしか来ない。
それが何十年単位とは思っていなかったけど
数年単位だとは分かっていた。
上京するまでに1度会えるかどうかも分からないレベルになったという事。
Bにはもう会えない。
Bを完全に失ったと気づいた私は、
強いショックを受けました。
(おそらくこの時、記憶のブロックが起こり始めた。)
生まれた時から当たり前にそばに居る人だったから
この先もずっとずっと
私の人生から消える事はないと思っていました。
大人になってもずっと
この縁が切れる事はないと
こんな一瞬で関係が崩れるとは思わなかった。
まだ子供だった私は、
彼はただの従兄弟で、恋愛対象ではないと証明したかったんです。
それができれば、また会わせてもらえると本気で思っていました。
私が慕うほど母はBに冷たくなるから、
一生懸命Bに興味がないフリをしました。
私のその嘘が、Bを守る事にもなると思ったから。