きもの美人道 代表・ひとみ です。

 

8月8日、東京オリンピックが幕を閉じ、
パラリンピック開幕へとなりました。

私たち、着物に携わる者にとって、

オリンピックで、
日本の民族衣装である着物を
アピールできる絶好の機会を逃した、

と、落胆の声はやみません。

 

そんな中、わずかばかりながら、
着物姿を目にすることができました!

1)女子プロレス50Kgの表彰式のプレゼンターに

メダリストの伊調馨さんが「振袖」でお出ましに!

 

2)閉会式で、宝塚トップスターによる

華麗なる「袴」姿!

 

3)小池百合子都知事の「色留袖」姿でフランスヘバトンタッチ!



この御三方の着物姿を例に、

ポイントを、分かりやすく
解説させていただこうと思います!

 

お読みいただけましたら、
着物初心者のあなたでも、
着物の種類や、見方が分かります!


お友達やご家族様にも、
ぜひ教えてあげてくださいね!

 

<伊調馨さんの振袖>


(お写真:毎日新聞ニュース様)

 

ご存知とは思いますが、
振袖はミスの第一礼装。
つまり、未婚の女性にとって、

最も格の高い着物です。

しかしながら、成人式のように、
ご自分が主役ではない場面なので、

大きな花が描かれているとか、
カラフルなものではなく、

あえて一色で染め上げた、
控えめな振袖を選ばれたのでしょう。

このように、
一色で染め上げた着物を

「色無地(いろむじ)」
 

と言います。

水色がとても爽やかですね!

スポーツシーンであること、

盛夏であること、
などを考慮されたのかと。

盛夏の振袖は、
本来は「絽(ろ)」という、

細かな穴の空いた盛夏用の絹の振袖になりますが、

見たところ「絽」ではなさそうです。

着物は直前にお着せして、
タクシーで会場まで移動されたとのことですから、
汗だくにはならなかったと思います・・・。



遠目には分かりづらいのですが、
胸に白抜きの紋が見えますね。

背と胸(抱紋)2つ、袖2つ で「五つ紋」です。

紋が入ることで、さらに格も高まります。


 

そして、黄色?金?の

重ね衿伊達襟・だてえり、ともいう)

をされています。

おめでたさが重なる、という意味があり、
お祝いにふさわしく、
華やかさも増します。

重ね衿があるために、
半衿の見せ方が少なく感じますが、
おそらく品よくしたかったのと、


着付け師として思うのは、
スポーツ選手は肩がしっかりなさっているので、
実は襟元が決めにくい。

もしかして、着付けの後、
動いてせばまったかな、、、
と想像しました。
(あくまで私の個人的見解ですが)



帯は、金糸で織られた「袋帯」で、
龍村美術織物のものだそうですね。

龍村といえば、
着物ファンなら誰でも知っている、
明治創業の京都の老舗の織元さんです。

私も憧れの龍村〜♪
(とテンション高まる!)

*「袋帯」とは、
礼装用の帯で、
幅はおよそ31〜35センチ、
胴に巻く部分は二つ折りにしてふた巻きしますから、
長さは4M以上あります。

 

帯には柄付によって種類があり、

帯に全て通して柄がついている
「総柄」と、
 

胴に巻いて見えない部分を
無地で仕上げてある「六通柄(ろくつうがら)」
 

そして、前と後ろだけに柄のある
「お太鼓柄」
があります。

 

伊調さんの帯は、
総柄と思われますが、
着上がった上からでは、判断しかねます。

 


帯の結び方は、
蝶結びが背中で斜めになる、
「立て矢」系の古典的な帯結びです。
花嫁さんの引き振袖などにも、
よく見られる帯結びです。


<宝塚歌劇団の袴姿>

(画像は我が家のTVより)
 

この、宝塚スターによる国歌斉唱の美しさ!

トレードマークの緑色の袴に、
それぞれ美しい染めのお着物は、
「付け下げ」ようです。

付け下げは、反物(巻物)状態の布から仕立てます。
肩から裾にかけて、
柄が全部上向きについているのが特徴です。
 

着付けは、襟元をスッキリと、

そして、衣紋(首の後ろの空き)は、

あまり抜かずに着付けます。

 

トップスターの皆様のように、

姿勢が良いと、
さらに美しさが増すばかりです^^



私が加入している、
着物関連のfacebookグループで、

お一人の方がお召しになっているお着物の、
お仕立てをしたという、

和裁士さんがいらっしゃいました。

 

ご本人はたまたまテレビを見ていて、
気がついたそうです。

 

手染め、手縫いで着物を一品ずつ、
思いを込めてつくっているものですから、

量産はしません。

作り手の手を離れ流通に乗せたら、

どこのどなたが購入されたかまでは、
知るよしもないのです。
 

 

「我が子を見るように嬉しかった」

ともお書きになっていました。

 

その嬉しさ、誇らしさが伝わってきて、

私も、じ〜んとなりました。

 


オリンピックという晴れ舞台で、
職人さんたちが、心を込めて作った作品と、

テレビを通じて再会できるのも、
素敵なことですね。

 

 

 

 

<小池百合子氏の「色留袖」>


黒留袖は、ミセスの第一礼装ですが、

色留袖は、ミス・ミセスに関係なく着用できる第一礼装です。

三つ紋を染め抜いているので、格と

してもちょうど良いと思われます。


五つ紋ですと、
黒留袖に使われ、結婚式のお母様のイメージです。



重ね衿、帯締め、帯揚げも白で統一。
文句なく、式典にピッタリです!

色留袖は、上半身には絵柄はなく、
裾模様があるのみです。
 

末広(すえひろ)の金糸の刺繍が豪華でした。

末広は、扇のことです。
 

いつまでも、
「すえひろがりに幸せが続くように」と、

おめでたい意味の吉祥文様とされています。

そして、帯は、

これまた京都の桝屋高尾さん。
オリジナルな手法の
「ねん金綴(つづれ)」が看板商品。

インスタやネットショップなどもあり、
時代に対応しているなあという印象を持ちました。

 

SNSでも既に解説されている通り、
小池氏の帯は、

『縫い分け技法』という最高峰の手織り技術を駆使し、
金銀螺鈿で装飾された華麗な鏡の裏側を文様化した
『手織ねん金綴錦』


モチーフとなった「鏡」は、
「我(が)を取って神(かみ)になることから
神との出会いとも言われている吉祥文様です」

神の国、日の本のオリンピック閉会にふさわしい装いでした!

 


皆さま、本当に素晴らしいお姿で、

嬉しく拝見いたしました!

 

着物を見ると、(男性はとくに)すぐ、

「高そうだな〜」って、仰るけど、
 

それよりも、
高く売れる技術を持っていることこそ、

評価したいですね。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

 



 









 


 

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