2月14日。本日はバレンタイン。なんだかチョコレート業界にはめられてるだけなんだから、と無関係を装いつつも、甘い香りに誘われて、ついチョコレートショップを覗いてしまいます。つい先日、バレンタインに関連する出来事を、妙にはっきり思い出しました。
それは、私が20代の頃のある2月14日。一通のカードが届きました。
差出人は、先日パーティで会ったばかりの日本在住のアメリカ人男性。
カードには、私の幸せを祈るメッセージが詩的に綴られていました。
日本だと、すぐ個人的なラブレターを連想しがちですが、カードのメッセージから、もっと広い意味での愛と思いやりを感じました。
もともと欧米では、バレンタインデーに、家族や恋人同士で、カードやちょっとした贈り物を送りあったりすると聞いていたけれど、いざ男性からカードを受け取るとは、新鮮でしたし、嬉しかった。
彼のファミリーネームは、Dot。
初めて会った時、「Dot、ミズタマ。」と、おちゃめに自己紹介してくれて、長い睫毛が印象的な優しい笑顔の人でした。
バイリンガルの友達が、「通訳しようか?」と私たちの間に入ろうとすると、水玉君は、「大丈夫、大丈夫」といって、尻込みする私に、ゆっくり分かりやすく話してくれました。
実は、そのあとの2次会で、同席していたイギリス人男性が、自慢めいた話をし、間接的に水玉君を少し侮辱するようなことになってしまいました。私はとっさに、英語で何とフォローすればよいか分からずに、そのままやり過ごしてしまい、そして水玉君は先に帰り、それきりになっていました。
そんなわけで、私は彼にちょっと申し訳ない思いでいたのですが、カードをくれたことで許してもらえたような気がしたのです。
カードは、国内から投函されているのに、アメリカの住所が刻印された私製封筒だったので、返事を期待しないカードであるのは分かりました。
その後も、彼とは会うことはないまま月日が流れています。
今頃になって、水玉君の優しさが、一層感じられるこの頃です。