マシュー・ボーンのSWAN LAKE(白鳥の湖)を観ました。もう、マシュー・ボーンに、脱帽です!

前回アダムクーパー主演で大好評だったAMPの舞台を見逃していたので、今回は何としても観たかったのです。

プレリザーブした席は前から4列目の真ん中!舞台は驚きの連続で興奮しました。「白鳥の湖」といえば、誰でも知っている3大バレエのひとつ。私は子供の頃6年間バレエを習っていて、「白鳥~」のオデット姫も何度か踊ったことがあります。クラシックバレエは振り付けがほぼ決まっているのですが、今回マシュー・ボーンが創り上げた白鳥の湖は振り付けはおろか、曲順も違います。なんといっても、白鳥は全員男なんですから!!普通のバレエファンにはそれだけで圧倒されますよ。でも、トロカデロ・モンテカルロバレエ団とは全く違います。白鳥の獰猛なところなど、表現がとてもリアル。コールドバレエの統一美とは違うけれど、それぞれの個性が集まってひとつの方向性に向かっているのです。

また、おもしろいことに、王子はチャールズ皇太子がモデルで母親である女王から愛を受けられないことを悩んでいるという設定。それに、女王が1950年代のモードファッション。これは、王室が今だ旧態以前としていることへの皮肉?そして、昔懐かしいスターを模した脇役たち。そんなノスタルジックさと、たとえばバレエ鑑賞中に王子のガールフレンドの携帯電話が鳴って女王が顔をしかめたり、怪しげなバーから酔って出て来た王子がパパラッチに写真を撮られたり、と現代的なこともちゃんと入っているのです。マシュー・ボーンという人は、メンタルなメッセージを舞台を通して間接的送ってくる。最後王子は死んでしまうのだけれど、奥のスクリーン越しに白鳥にしっかり抱きとめられているのが見える。それは、幻想の中での理想だから、別の次元で昇華されていることを暗示しているかのよう。

昨年冬にやはり、マシュ・ーボーンのくるみ割り人形を観たけれど、これも子供から大人への自立のステップが描かれていました。舞台中に、そして、役者ごとに暗喩が秘められていて、謎解きしながら観るのはとても楽しい。もし、私がもっと上手に踊れてバレエを続けていたら、この仲間に入れる事を夢みたでしょうね。とっても創造的な知的な遊び心のあるバレエを超えたバレエ。次はレ・シルフィード。どんな舞台になるんでしょうか。今から楽しみです。

幸せな3月の新月の夜でした。