たまにはエピソードもいいか

第2014回 定期公演 Cプログラム

2024年6月15日(土) 開演 14:00

NHKホール

寄港地(イベール)

左手のためのピアノ協奏曲(ラヴェル)

夜想曲*(ドビュッシー)

 

指揮:沖澤のどか

管弦楽:NHK交響楽団

ピアノ:デニス・コジュヒン

東京混声合唱団*

 

「体軸が全くブレず、動きにムダがない」

まるで、スポーツのパフォーマンス評のようだ。

これが本日の指揮者に対する有識者のコメントらしい。

 

普段、エピソードで音楽を聴かないのだが

職業人という前に、1人の卓越した人として

この指揮者に非常に興味を持った。

良いも悪いも巨匠として、

過剰な包装パッケージがついていないせいで

もしかしたら、自分たちに近い人ではないかと

錯覚する。

あんな巨大な音の塊の中で、1点の濁りも

聞き逃さない能力を万人が持っているはずもないが、

それでも、銀のさじを咥えて生まれてきて

何の挫折もなくここに至ったのではないと

親近感を持ったのはひさびさだ。

 

別の彼女のインタビューでは

NYのオーケストラでは、公平性を期するために

ブラインドでオーディションをするとも

語っていた。

そうなると、体軸が全くブレるか否かなども

関係ないことになる。

ただ、実際に目にしたところ

きびきびしたところと

柔らかさを兼ね備えた指揮ぶりは

素晴らしかったと思う。

願わくは、長大な/重厚なマーラーやブルックナー

あるいは、情緒豊かなチャイコフスキー

あたりで聴くチャンスがあれば

音の印象がもっと強くなるだろう。

 

そんなことを書きながら

らじる★らじるで音をあらためて聴いてみた。

現場との印象は全く異なる。

マイクが上にあるせいか

管楽器の音は想像以上にクリアだが

ピアノの音は、いまいちだ。

(コントラバスのゴリゴリも)

特に今日の協奏曲の場合

まず弾く低音部分がガーンと余韻を残す間に

真ん中あたりで細かい音を刻み

片手のハンディをカバーするようにしているので

よりそのように感じた。