「由紀子ちゃん、夜ぼくがあの少女の霊に誘われて比治山に行きそうになったら止めてくれ。頼む」
真剣な眼差しで中村健太は由紀子にこう頼んだ。
「分かった。必ず止めるから」
由紀子も必死だ。
二人は指きりげんまんをした。
顔を見合わせてお互いの愛を確認したのである。
だが、、、、、、、、、、。
その約束も日が暮れて夜の帳が降りると、何の効果もなかった。健太は人が変わったようになり、比治山に出かけようとする。由紀子が止めようとすると、
「どけ・・・・・・」
こう言って由紀子を押しのけるのだ。
「まずい、健太君はとりつかれている」
心でこう叫んだが、どうする事もできない。