9/27付 日本経済新聞では、企業会計基準委員会が、2011年3月期から後入先出法を廃止することを正式決定したと伝えています。
後入先出法というのは、棚卸資産の評価方法の1つです。
棚卸資産の評価方法には、
先入先出法
平均法
後入先出法
などがあります。
後入先出法の特徴については、こちらのトピックに詳しく書きましたので、ご参照ください。
■在庫評価方法、後入先出法廃止へ
http://ameblo.jp/ir-man/entry-10060323261.html
簿記・会計の世界で長らくなじんできた後入先出法が廃止される、というのは、何やら名残惜しいような気もします。
これは、以前から言われていた、国際会計基準へのコンバージェンスの一環での作業です。
(それにしても、日本は、コンバージェンスで対応するのか、アダプション=国際会計基準をそのまま”適用”するのか、については、どっちの方向に進んでいるのか、よくわからないなぁ・・・。)
ちなみに、財務会計基準機構のHPで、棚卸資産の評価に関する会計基準の改訂については、こちらに掲載されています。
■改正「棚卸資産の評価に関する会計基準」の公表にあたって
http://www.asb.or.jp/html/documents/docs/tanaoroshi/
(改正直後なので、財務会計基準機構の会員でなくても、しばらくは無料で読めます)
ダイジェストの位置づけにあたる公表文を読むと、改正の内容がピンポイントでわかります。
・棚卸資産の評価方法は、
個別法
先入先出法
平均原価法
売価還元法
の4つが挙げられています。
・適用時期
平成22年4月1日以降開始事業年度(2011年3月期)からとされていますが、早期適用(平成22年3月31日以前に開始する事業年度から適用)も可能です。
ちなみに、近年、多くの会計基準が改訂・新設されてきたので、この適用時期については、みなさん結構、気をつかっていると思うのですが、ついでに、元号表記と西暦表記もコンバージェンスしてもらいたいっと思うのは私だけでしょうか・・・?
いちいち頭の中で、ええっと今が平成21年3月期=2009年3月期だから、あと1年、2年・・・と数えると、間違えそうになりませんか?
早期に西暦表記に統一するか、カッコ書きで西暦を併記してもらいたいなぁ。
・適用初年度の損益に与える影響については、特別損益とすることができる、とされています。
新聞記事でも、「評価方法を変更する際には、利益が膨らみ一時的に税負担が重くなる可能性があり・・・」と書かれていました。
これは、ひと言でいえば、長年の保有損益(利得)が一気に実現しちゃうから、なわけですが、計算上の利益が一気に計上されただけなのに、税金でキャッシュを奪われるのはたまらん、という気持ちはよくわかります。
改正の公表文でも、最近、会計基準のコンバージェンスについては連結先行で、という議論もあるし、国際会計基準採用の各国においても、税金計算の面では、あいかわらず後入先出法が認められていることもある、としていますので、今後の議論に注目が必要そうです。
何だか、今後、ますます財務会計(連結)の世界と、税務の世界の乖離が激しくなりそう・・・。
それでいて、税金計算の結果、キャッシュアウトがあるから、それを考慮に入れると、こっちのほうが有利だの不利だのという議論もありそうで、会計に関する視野を広くもっておくことが重要そうですねぇ・・・。
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