先日、決算発表~四半期報告書作成へとあわただしいなか、日本IR協議会の「IR優良企業賞2008」の調査票の締め切りを迎えました(8/1まで)。
もっちろん、提出しましたよー。
提出しないと、そもそも審査の俎上にすらのぼらないですからね。
これまでは、紙の調査票に記入してFAXするなり、返信用封筒で送り返す方式でしたが、今回からネット上でアンケートに答えていく方式に変更されています。
従来、設問の最後に、自由記述欄があって、
・自社のIR活動上の強調したい点、特徴的な手法
・昨年度と比べ力を入れた点、現在力を入れている点など
・現在のIR活動上の課題
について記述することができました。
今回、ネット式のアンケートになって、各自由記述が500字以内という制約が付され、機械的に500字で切られてしまうので、何をどう書こうか、論述内容を吟味しないといけなくなりました。
読む審査員のほうも大変だとは思いますが、500字ではちょっと書き切れないなぁ・・・。もう少し、余裕があるとよいと思いました。
全体の章立てと設問数は、以下のとおりです(枝分かれしたSQを含む)。
Ⅰ.IR活動の目標設定(5問)
Ⅱ.IR組織・体制(14問)
Ⅲ.経営トップの関与度(14問)
Ⅳ.コーポレートガバナンス(15問)
Ⅴ.情報開示に対する姿勢(8問)
Ⅵ.活動のフィードバック(9問)
Ⅶ.IR担当者の姿勢・適性(3問)
Ⅷ.IRツール&イベントについて(17問)
Ⅸ.その他(自由記述3問)
各設問内容を去年の調査票と見比べてみましたが、ほとんど変わっていません。
若干、設問が複雑だった問を、SQに分けてすっきりさせたものがあるくらい。
どんな内容が問われているのか、抜粋してご紹介しましょう。
Ⅰ.IR活動の目標設定
・IRの目標を設定し、明文化しているか
→認知度向上、適正な株価形成、企業・事業内容の理解促進、経営戦略・経営理念の伝達、長期保有の株主づくり、個人株主数の増加、外国人持株比率の増加etc.
・経営者がかかわってIRの目標を戦略的に策定しているか
・目標に沿った実行計画を作成しているか
・目標の達成をチェックしているか
Ⅱ.IR組織・体制
・IRの専任部署があるか、その名称、人数は。
・IR担当役員がいるか
・業務報告はどの段階まで行われるか
・兼任の場合の主管部署、専任者の有無、関連部署の会合の有無等
・IR部門の責任者は、資本市場のスポークスパーソンとして明文化し、公表しているか
・IR部門の責任者は、取締役会や経営会議などに参加しているか、また、投資家の意見を報告しているか
Ⅲ.経営トップの関与度
・IRの最高責任者はだれか
・CEO、CFO・IR担当役員、その他取締役、IR担当部門長らは、国内/海外の決算説明会/経営方針(戦略)説明会/個人投資家向け説明会/投資家面談/記者発表などに出席しているか、その状況
・社長は、投資家の意見を聞くためにIR部門の責任者と会議する機会を設けているか、その頻度は
・社長は、説明会以外のIR活動にも積極的に参加しているか、具体的には
・社長と投資家との対話の状況について
・社長は自社の適正株価を意識しているか、また、その前提となる背景とともに具体的に説明せよ
・社長は自社の株主構成の目標を意識しているか、また、その内容を具体的に説明せよ
Ⅳ.コーポレートガバナンス(以下、CGと略)
・アニュアルレポートやアナリストミーティング等で、CGについてわかりやすく説明しているか
・委員会設置会社/監査役制度採用会社といった現行のCG体制を採用している理由を投資家にわかりやすく説明しているか
・コンプライアンスの実効性を高めるしくみがあるか
・株主総会において実行している試み
→事前に投資家の意見を聞く、3週間以上前に招集通知を発送、集中日の回避、説明資料のビジュアル化、議決権電子行使プラットフォームの利用、その他
・中長期的な企業価値向上の取組みは、また、発表している経営指標について
・株主重視による還元姿勢として、開示している内容は
・情報開示における株主重視の姿勢について
・CSR情報の開示について
Ⅴ.情報開示に対する姿勢
・経営トップのIR・情報開示の姿勢の周知徹底、IRポリシーの開示、情報開示に関するリスクについて
・自社の情報開示体制について、責任者や役割、バックアップ体制、研修体制、モニタリング等
・情報開示の適時性について、Webサイトへの即時掲載、説明会の開催時期、四半期開示における季節的変動要因の開示等
・情報開示の公平性について、機関投資家/個人投資家、国内/国外に対するフェア・ディスクロージャーについて
・情報開示の一貫性について
・情報開示の自発性について、業績予測に有用なセグメント情報を開示しているか
・危機管理としてのIRについて
Ⅵ.活動のフィードバック
・外部の意見の聴取
・アナリスト、ファンド・マネジャーの意見をリポート形式で経営トップに伝えているか
・社内へのフィードバック
・機関投資家訪問後の自社株式の購入動向のチェック
・株主、投資家の意見を企業活動に活かしたかどうか
Ⅶ.IR担当者の姿勢・適性
・IR担当者の活動として、アナリストとの意思疎通、機関投資家訪問、個人投資家対応、IRに関する教育・研修への参加、自社のIR活動の改善、既存株主の長期保有を促進する活動等
・IR担当者の資質として、人と接するのが好きか、相手の立場を理解できるか、立場の強い相手にも議論できるか、プレゼン能力、双方向の対話力、会社にとって都合の悪いことも伝えられるか等
・IR担当者の知識・スキルのバックボーンとして、経理・財務、法務、広報、海外業務、経営企画、資本市場等
Ⅷ.IRツール&イベントについて
・国内/海外のアナリスト・機関投資家向け説明会の実施状況
・会社説明会の実施状況
・取材受け入れ、訪問の回数
・説明会等の公開状況
・個人投資家向け説明会の実施状況
・IRツールの制作・公開動向
・説明会補足資料での開示項目
・インターネットでの開示状況
・IR活動の予算
・IR活動の結果、自社の現状・将来性は市場で正しく評価されているか
などなど、少しはしょっているところもありますが、けっこう、いろんなことを多方面から聞かれるでしょう
年に1回とはいえ、改まって聞かれると、「あぁ、それやろうと思っていたんだけど、できてなかったなぁ」という項目もいまだにあります。
また、Web方式に変更されたので、紙に1とか2とか書いてあったのが分からなくなってしまい、配点の予想がつけづらくなってしまいました。
(だからといって、答えを過大申告するわけではありませんが・・・)
当社は、東証の指導に基づき何とか30日以内に決算発表したので、8/1の締め切りまでに回答を記入する時間がありましたが、決算発表がもう少し後ろにずれ込んでいる会社さんは、これだけのボリュームの調査票を念入りに回答する、というのはけっこう厳しかったかもしれません。
回答する時間がなかった、という理由でノミネートから外れる会社さんがあるかもしれないと思うと、残念ですよね。
四半期報告書提出後のお盆休み明け、くらいの時期に締め切りを設定してくれたら、多くの会社さんが参加できたのではないかと思われます。
IR協議会も、もうちょっと配慮してくれたらいいのに・・・。
ともあれ、今年は、いろんな会社さんでレベルが上がっているだろうから、最終選考まで残るのは厳しいかなぁ・・・。
去年みたいにラッキーがあれば良いけど
■IR優良企業賞 奨励賞ノミネート
http://ameblo.jp/ir-man/entry-10059604809.html
ま、賞は賞でいただければ嬉しいですが、もし本当に賞をいただいて、IR活動の内容を発表しなくちゃいけなくなったときに恥ずかしくないように、日々のIR活動をしっかりやるべし ですな。
がんばりまっす
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