光通信(9435)が、半年前6/4付の主要株主の異動に関するリリースを、12/17に行いました。
どんな事情かというと、光通信の単独筆頭株主だった重田康光会長が、株式の一部を自分が代表を務めている他の3つの会社に名義を分散・譲渡した結果、重田会長が筆頭株主から下りることとなり、他の会社が筆頭株主になったというものです。
主要株主の異動が開示されたのは昨日ですから、もしかしたら有価証券報告書には旧来の主要株主が記載されているかもしれません。
■光通信 2007年3月期 有価証券報告書
http://www.hikari.co.jp/class-02/ir/20/yuuka_houkoku.pdf
お、ありました。
上記の有報P.32に【大株主の状況】が記載されています(2007/3/31現在)。
1. 重田康光 15,592千株 26.78%
2. (有)光パワー 15,588 26.77%
3. 日本マスタートラスト信託(信託口) 1,313 2.26%
(以下、省略)
重田会長と光パワー、ダントツの大株主ですが、持株比率はその差0.01%と微妙なところでした。
ここで、重田会長が、自身で代表を務める有限会社に自分の保有する株式を譲渡します。
譲渡先は、(有)テツ、(有)マサ、(有)ミツの3社、ともに同じ住所地、同じ経営コンサルタント業を営んでいます。
(なんか古風な名前・・・というか、3兄弟って感じ。)
テツ、マサ、ミツの3社は、株式異動前はともに50万株保有となっていますので、有報でいうとおそらく大株主上位10位に少しの差で入ってこない11位くらいからの位置づけだったと思われます。
これら3社に20万株ずつ重田会長が譲渡し、それぞれ持株数は70万株となりました。
これにより、重田会長の持株は60万株減少し、15,592千株→14,992千株となりました。
したがって、光パワーは何ら株式数に変化がないにも関わらず、重田会長が第2位株主になることによって、光パワーが筆頭株主になったというわけです。
この事象が、光通信そのものには何ら関係ないにも関わらず、「主要株主の異動」の開示対象に該当するのです。
こりゃぁ要注意ですね。確かに意外に気づかないかもしれません。
それにしても、光通信のリリース、異動前は3/31時点の持株比率を使ったり、異動後は9/30時点の持株比率を使ったりしていて、分かりづらいなぁ・・・。
光パワーの大量保有報告書は、EDINETにて開示されているとのことです(光通信EDINETコード:941218)。
12/18付 日経金融新聞では、こうした経緯を紹介しながら、このような半年遅れの開示に至った理由を説明しています。
光通信は2007年3月期の決算短信で10ヶ所以上ミスが発生し、再発防止の意味も含めて、広報や経理など管理部門の人員を10人以上増強したのだそうです。
新人教育のために担当者の方が改めて規則を読み直したところ、開示が必要なことに気づいたといいます。
うーむ。
自社でもありえそうな話だけに、一方的に責める気になれません・・・。
言われてしまえば、開示が必要だと思わなかった自分が悪い、ということなんでしょうけれど、なかなかそこまで気づかない時には気づかないものです(思い込みがある場合も含めて)。
まぁ、でもえらいですよ。
担当者の方が、自分で新人に教えるために読み直して気がつくなんて。
内部統制のチェックリストなどでも、社内教育体制がどうなっているか、とか聞いていますが、社内教育をしようとして自社で気づいたのが不幸中の幸いでした。
それにしても、重田会長、20万株ずつの株式譲渡に何か意味があったのでしょうか・・・。
おまけに、自分が代表を務める同じような会社が3つも・・・。
うーん、金持ちのすることはよくわかりません(^^;
さて、当の光通信ですが、12月のこの時期、半期報告書の作成もたけなわと推測されますが、9月末時点の株主順位が入れ替わっているわけですから、大あわてで原稿差し替えしているのではないでしょうか。
こちらのほうもお忘れなく。
なお、今回の主要株主の異動の半年遅れのリリース、東証の適時開示にのみ掲載されており、光通信のIRホームページには掲載されていないようです。
ま、かっこ悪いのはわかりますが、その開示姿勢、どんなもんですかねぇ。
興味のある方は、東証の適時開示の検索可能期間が過ぎないうちに、ダウンロードされることをお勧めします。
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