またまた監査意見不表明となった会社が出ました。
クインランド(2732・HC)。 システム開発を業としています。
対象となる決算は、2007年6月期の連結財務諸表などで、監査法人はアクティブ監査法人です。
■クインランド 平成19 年6 月期 計算書類に対する監査意見不表明及び有価証券報告書提出遅延等のお知らせ
http://www.quinland.co.jp/pdf/ir20070926.pdf
大阪証券取引所は、上場廃止基準に該当する可能性があるとして、9/26付でクインランドを監理ポストに割当てています。
■大阪証券取引所 監理ポストの割当て
http://www.ose.or.jp/news/0709/070926d.shtml
そもそもクインランドは、2007年6月期に2期連続の最終赤字となっています。
■クインランド 平成19年6月期 決算短信
http://www.quinland.co.jp/pdf/ir20070831_2007_4q.pdf
当期純損失は
2006年6月期 ▲8,487百万円
2007年6月期 ▲10,142百万円
と多額にのぼり、この結果、2007年6月期には29億円の債務超過に陥っています。
こうした財政状態の悪化により、金融機関からの借換えの合意が得られず、早期の返済が困難となっており、継続企業の前提に重要な疑義(ゴーイング・コンサーン注記)が生じていました。
債務超過の解消に向けて、海外企業からのロイヤルティ18億円を期待していたものが、25日までに振り込まれなかったため、アクティブ監査法人は適正意見を表明するための合理的な基礎を得ることができないと判断し、監査意見の不表明に至ったものです。
決算短信から連結貸借対照表を見てみると、ものの見事に、多額の有利子負債を抱えています。
2007年6月末で、
短期借入金 13,830百万円
一年以内返済予定長期借入金 約48百万円
普通社債 150百万円
新株予約権付社債 3,000百万円
長期借入金 約78百万円
〆て、約171億円
監査法人は、会社法決算(招集通知)における単体・連結の計算書類および証券取引法決算(有価証券報告書)の単体・連結財務諸表の両方に対して、監査意見を不表明としています。
しかし、会社側は、一応、監査意見が出ることを前提として招集通知を作成・発送していますので、招集通知に記載されている議案において、計算書類は総会の報告事項ではなく承認事項となりました。
これに伴い、総会議案(資本準備金の減少&剰余金処分、取締役・監査役の選任)は棚上げと会社側では判断しています。
リリースではこんなふうに記載されています。
「招集通知記載の第1号議案(資本準備金の額の減少及び剰余金処分の件)、第2号議案(取締役2名選任の
件)、及び第3号議案(監査役3名選任の件)につきましては、当社の計算書類の内容に直結、または当社の計算書類の内容に基づく極めて重要な意思決定事項であることから、計算書類の承認を経ずして決議することは適当でないと判断いたしました。」
こうしたことから、総会では、定時株主総会の延会のみを決議することとし、事業報告・計算書類の承認・監査報告・当初付議する予定の議案については、(総会の)継続会に付議する予定としています。
その株主総会は、今日 9/27
荒れたでしょうね・・・。
ちなみに、総会の継続会(2日目)は10/25予定。
有報には、承認された計算書類(財務諸表)を記載する必要から、当然、6月期決算の9月末提出は不可能
10/29に有報提出予定と発表されています。
あまり望ましくはないんでしょうけれど、監査意見不表明などによる株主総会の延会・有報提出遅延などの事例がだいぶ増えてきたのか、クインランドの今回のリリースはだいぶ見通しのよい記載ぶりになっていまして、それなりの安心感はあります(^^;
もちろん、資金繰り等、会社経営の安定がなければ、そもそもお話になりませんが・・・。
ある意味、ここまで来ちゃうと、会社のほうでも監理ポスト入りなどは当たり前と、腹をくくっているのかもしれません。
ヘラクレスに限らず、東証もJASDAQも、提出遅延、即、監理ポスト入りみたいな実務になってきたような気がします。
ちなみに、監査意見不表明の先輩、アーティストハウス・ホールディングスは、アスカ監査法人から連結計算書類について限定付適正意見の監査報告書を受領したと発表しています。
■アーティストハウスホールディングス 平成19年5月期 監査報告書受領に関するお知らせ
http://www.artisthouse.co.jp/pdf/irnews/3716-070926.pdf
やれやれ、といったところでしょうか。
とはいえ、アーティストハウスも今日、株主総会の延会(2日目)をやってるはずです。
アーティストハウスについては、過去のトピックをご覧ください。
■アーティストハウス、監査意見不表明
http://ameblo.jp/ir-man/day-20070829.html
その後、こんなリリースが出ています。
■第8回定時株主総会決議事項に関するお知らせ(8/29)
http://www.artisthouse.co.jp/pdf/irnews/3716-070829-1.pdf
このリリースでは、株主総会の延会を9/27に開催予定としています。
また、ご丁寧なことに、
「なお、続行の決議に基づいて開催される会議(以下、「継続会」という。)は、平成19年8月29日に開催された会議と一体をなす、一個の株主総会となりますので、ご出席いただくことができる株主様は、平成19年8月29日開催の本株主総会において、議決権を行使することができる株主の皆様に限られますことにご留意下さい。」
との注意書きがついています。
確かにそうなんでしょうけれど、IRないしSR(株主とのリレーション)の観点からすれば、改めて基準日を設けずに、以前に確定させた株主に限定ですよ、と言ってくれているのは、わかりやすい表現だと思います。
それにしても、総会受付のオペレーションはどうやったんだろ
延会の決議をすることは分かりきっていたんだから、議決権行使書を受け取らずに会場内に入れたのかな。
それとも、閉会・退場時に、次回用の出席票を配布したのでしょうか。
証券代行の信託銀行さんに聞いてみよっと。
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