ネット総研、ついに上場廃止 | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

インターネット総合研究所(4741)がついに上場廃止と決まりました(5/23、東証発表)。


上場廃止日は6/24。


東証の発表文はこちら。

■上場廃止等の決定-(株)インターネット総合研究所-

 http://www.tse.or.jp/news/200705/070523_b.html


上場廃止理由は、上場廃止基準第2条第1項第5号(「上場会社の中間財務諸表等に添付される中間監査報告書において「意見の表明をしない」旨が記載され、かつ、その影響が重大であると当取引所が認めた場合」)に該当すると認めたため、とされています。


監査論でいうところの「意見不表明」→上場廃止のパターンです。


対象となったのは、平成19年6月期中間連結財務諸表(平成18年12月中間期)。


東証の発表文によれば、かねて問題視されていた子会社のIXI(すでに2/22に上場廃止)の中間決算が確定できなかったため、ネット総研は、暫定的にIXIの損益については発生額がないものとして取扱い、貸借対照表項目については取崩す処理を行ったうえで、その中間連結財務諸表が将来訂正される可能性を認識しながらこれを作成・開示したものです。


IXIのネット総研財務諸表に与える影響は、


総資産額: 29,361百万円/57,052百万円 (51.5%

当期純利益: 2,374百万円/3,092百万円 (76.8%


となっており、ネット総研の連結業績に著しく大きな影響を与えているといえましょう。


これに対し、監査法人のトーマツは、中間財務諸表に対して十分な監査が実施できなかったため、「意見の表明をしない」旨の中間監査報告書(=意見不表明)を提出しています。


監査報告書は、EDINETで見ることができます(EDINETコード:941335)。


こうしたことから、東証は、「投資者の投資判断の基礎となる重要な情報が適正に開示されている状況とは到底認められず、これをそのまま放置するとすれば証券市場への信頼を著しく毀損するものであると認められる。」として、上場廃止を決定したものです。


ネット総研株は、現在、東証の整理ポストに割当てられており、ストップ安水準(14,140円)で正味67,400株あまりの売りものが売買成立せずにたまっています(週末~来週はじめがお祭りなんでしょうか)。


ネット総研のリリースはこちらです。


■上場廃止の決定に関するお知らせ

 http://www.iri.co.jp/jp/ir/pdf/0705231.pdf


■東証の上場廃止を受けての当社の見解

 http://www.iri.co.jp/jp/ir/pdf/0705232.pdf


当社の見解がふるっています。


これまで真摯に審査に対応してきたが、「本日、突然、上場廃止決定の通告がなされました。」・・・ヲイヲイ、今日急に言われたわけじゃなかろうに。


「当社の潔白性は認められたものの」・・・ホントはてなマーク 東証のリリース文には、ネット総研が潔白だとはどこにも書いていない気が・・・。


「IXI 決算が確定せず、この状況の中で当社が正確だと判断する財務諸表を作成し提出を行ってまいりました。」・・・正確なわけではないでしょ。暫定的に、それしか出せなかったと言う方が適切かと・・・あせる


「しかしながら、東証の審査結果による、本日の上場廃止決定の理由については、誠に遺憾であり、当然、納得できるものではないと考えております。」・・・そぉかぁ。「遺憾」って、こういうふうに使うんだぁ。使いたくないけど、覚えておこう・・・(爆)


「株主の皆様と多くの優良顧客と優秀な従業員によって支えられてきた企業価値は、今回の決定によって何ら毀損するものではないと確信しております。」・・・うーむ。ここまで書けるとは、ある意味すごい・・・かも。


「今後は、株主の皆様の資産保全の立場に立ち、当社が行うべきいくつかの選択肢の中から最善と思われる再生策探っていく所存であります。」・・・どんな策があるというのでしょう。株価が下がりきったところで、投資ファンドが買いに来ることを期待するのでしょうか。ただ、「探っていく」だけという可能性もないわけではありません。



いずれにせよ、IXI~ネット総研問題は、一応の結末を見たというところです。

マザーズ第1号銘柄の終焉・・・、そしてマザーズ市場の変容へ東証が踏み出すきっかけになった事件として、歴史に名を残すのかもしれません。



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