エス・バイ・エルで不適切な会計処理 | IR担当者のつぶやき

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上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

戸建て住宅のエス・バイ・エル(東証1部・1919)は、未完成の戸建て住宅の売上計上時期を前倒ししていた問題に関して、5/18に正式にこれを認め、平成15(2003)年3月期~平成18(2006)年3月期の決算訂正の見込み額を公表しています。


■過去の業績に影響を与える事象の発生について

 http://www.sxl.co.jp/ir/news/pdf/20070518.pdf


この問題は、5/16に朝日新聞が「売上高1.2億円水増し」と報道していました(http://www.asahi.com/national/update/0515/OSK200705150106.html )。


これを受けて、エス・バイ・エルは、これを否定するようなしないような、訳の分からないリリースを2本も出しています。


■本日の朝日新聞の記事について

 http://www.sxl.co.jp/ir/news/pdf/20070516.pdf


■本日の朝日新聞の記事について(追加)

 http://www.sxl.co.jp/ir/news/pdf/20070516_3.pdf



両リリースとも、「当社が発表したものではございません」とか言っていますが、同時に、「ただし、本日報道されました件につきましては、過去の当社決算において、当社の売上(完工)基準に照らし合わせると、本来の売上計上期より前に売上処理が一部行われていたことが当社の調査でも判明致しております」とも言ってまして、”何だかなぁはてなマークという内容・・・。


認めるなら認めればいいのに・・・。


私は朝日はとっていないので、どのくらいヒドイ書かれ方をしたか分かりませんけれど。


そんな経緯の後の、5/18の決算訂正見込みの発表だったようです。


5/21付 日経産業新聞の見出しでは、「支店6割で不適切、4期分で7億4000万円」としていまして、全支店の約6割にあたる13支店で、32件行われていたと報じています。


エス・バイ・エルは、朝日の説明によれば、「78年に東証1部に上場。90年から現社名になった。主に首都圏や関西圏で木造プレハブ住宅の設計・建築などを手がける。受注の低迷などで04年度連結決算から2年連続で当期赤字。05年度の売上高は825億円(前期比5.7%減)で、経常赤字は15億円、当期赤字は329億円。従業員は約1200人(06年9月末)。 」だとされます。


同社の監査は新日本監査法人ですが、新日本監査法人の指示に基づき、同社は過去5年の期末完工分4,115戸を対象に売上計上処理の調査を実施し、前倒し処理が各期に数件ずつあったことを受け、6月上旬に過年度の決算短信を訂正し、同月末をめどに有価証券報告書、半期報告書を訂正して関東財務局に提出する見込みだといいます。



それにしても、この時期の新聞沙汰はきっついですね・・・汗


対株主としても、内部の作業的にも。


対外的には、エス・バイ・エルはすでに大阪市内で記者会見を開き、池田力副社長が、「強力な業務推進、法令順守に関する社内教育の不徹底などに原因がある」との考えを示した。内部統制の不十分さなど、当時の管理体制の不備についても認めたとされています。


松川敏夫社長は、経営陣の責任を問われ、組織ぐるみの関与を「一切ない」としたうえで、「社内の管理体制を整えることが私の責任」と現時点の辞任を否定したものの、「事態の重さを考慮すると、全容がわかった段階でそのこと(辞任)も視野に入れて検討する」との考えを示したと伝えられています。


ちょうど株主総会シーズンですから、社長さん以下、何名かの取締役さんは責任をとられることと想像しますが、決算スケジュール等からいって間に合うのかしら?


EDINETで調べてみると(EDINETコード:151149)、昨年の総会は6/29に行われているようなので、ギリギリのスケジュールで動いているとすると、まだ招集通知の校了までは間がありますね。


まぁ普通に問題ない企業と、こういった特急便の企業では、宝印刷やプロネクサスも、取扱いが異なるとは思いますけど。


昨年の招集通知の日付は6/14になっていますので、早期発送なしの2週間前通知


ただし、今年は6/29は金曜日ですから、総会を6/28(木)と仮定すると、招集通知の発送が6/13付


宝印刷やプロネクサスを急がせたとすると、おそらく1週間前の6/6くらいに校了してれば、印刷・折りを入れて、信託銀行に納品し、特急で封入してもらって・・・と考えると、間に合うかなはてなマーク

どうかな。微妙かも。


ま、いずれにしても、5月いっぱいは招集通知の作成に時間が取れるわけですが、気になるのは、6月上旬に決算短信の訂正を出す予定だということ。


もしも、そこまで正確な数字を算出するのに手間取るということであれば、招集通知の校了に間に合わないことになるのでは!?


あるいは、先日の発表では、粗々の数字が公表されていますから、会社においては、だいたい計算はされているけれども、新日本監査法人の監査が追いつかないので、最終確定までに時間がかかる、という線かも。


とすれば、会社が計算した仮の数字で、決算短信や計算書類を作成しておくことは可能か。


一方で、社長らが辞任した後の役員選任議案を詰めて、と。


何か、他人ごとなのに、スケジュールどおりに間に合わせることができるかどうか、考えている自分が恐い叫び


ある種、職業病ですなあせる


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