『毒親』、読了しました。


私自身、自分の父にも母にも思うことは色々ありますが、
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経験もないのにいきなりプロであることが求められる
母親になることはかなりしんどい(p.57)
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など、本書に書かれていることを読むと確かにそうだなと思い、また、私の両親は本書でいうところの"毒親"には当たらないのかなとも思いました。
何より、親になることの大変さ、未熟さについては、誰より私自身が最も感じていることであります。。。

もう一つ合点がいったのは、以下のくだりです。
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妬みの感情は男親のほうがひょっとしたら怖いものである可能性もあります。
男性に妬みの感情が強いのは、企業内の人間関係において顕著に表れているでしょう。(p.74)
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前職時代に、人を貶めることで相対的に自分を上に見せる言動を四六時中する男性がいて、本当に嫌でした。
聞くところによると、お兄さんが非常に優秀で、小さい頃から家庭内で兄と比べられて育ったとのこと。
本書の中にも兄と自分を比べて屈折した思いを抱きながら大人になった事例がありますが、これに近いのかなと思いながら読みました。

ところで、六本木ヒルズに行くと一際目を引く蜘蛛のアートがありますよね。

六本木ヒルズHPより転載


《ママン》と名づけられたこの作品は、作者・ルイーズ・ブルジョワが蜘蛛に自分の母を重ねて創ったものであることを初めて知りました。


幼い頃から実父より執拗に精神的虐待を受けて育ったルイーズに対して、何もしてくれなかった母親。


蜘蛛は巣をこわされても怒らない

もういちど糸をはきなおすだけ


父に対する憎しみと怒りを募らせる一方で、母に対しては美化する思いであったり、なぜ自分を救ってくれなかったのかといった割り切れない思いなどを抱いていたのではないか。

そんな複雑な思いが、《ママン》には投影されているのではないかと述べられています。


今まで何げなく横目に見て通り過ぎるだけだった《ママン》を、今度から彼女の思いに気持ちをはせながら鑑賞したいと思いました。


以下、備忘録メモです。

クローバーp.81-82
子どもは親の影響を受けて育ちます。
けれど完全に別人格の存在でもあります。
自分と似ていなくても、自分とそっくりでも、淡々とその子の人格を受け入れることができれば、互いに幸せだろうと思います。
「こんな子に育ってほしい」というのも親のエゴかもしれないのです。

クローバーp.120
距離が近すぎるあまり、客観的に見ることができない。
愛着が強すぎるからこそ、激しく、必要以上に攻撃してしまい、冷静になったときに自分のしたことに恐れおののいてしまうのです。

クローバーp.125
実際の家族関係というのは血縁以上に、愛着を生じるような接触が一番重要です。
人間の場合は、共感を生む言語のやりとりが一番大きい要素といえるでしょう。

クローバーp153-155
毒親によって傷つけられてしまうのは、目に見えない絆だけではなかったのです。
実際に、脳も傷ついてしまっていることが、現在では明らかになってきたのです。
そして、できてしまった脳の傷は、学習意欲の低下やうつ病等の原因になることがあります。
線条体の活動が弱いと、ちょっとしたことでは快楽を得られなくなるため、強い刺激を求めるようになります。
つまり、依存症を起こしやすくなるということです。


富士山2024年 41冊目