最近こちらの書籍を読みました下矢印
 
 
著者は、知る人ぞ知る元・中受ブロガーさま。
お嬢さまの中受に際して、大手進学塾の方法に乗っかることが、ご自身の理想とする「子育て」=子どもの持つ資質を引きだすこと、に果たして繋がるのかと疑問を持たれ、「勉強」という要素を子育ての一環として捉えながら、大手塾とは距離を置く”小さな受験”を選択されました。
 
”小さな受験”をするために必要なものとして、著者は以下3点を挙げておられます。
①良問
②時間
③触媒となる先生
 
①について、算数は予シリを使われていたようですね。
③の先生役はご自身が担っておられましたので、塾無し中学受験を選択する場合は、本書をそのまま"我が家"に置き換えて読むことで家庭学習のヒントを得られるように思います。
また、特に大手進学塾を利用しながら中学受験を目指す場合には、大手進学塾の"カラクリ"を理解した上で、それを上手く利用しながら果実を得るにはどのような方法が考えられるのかという提言がありますので、人によってはそれも参考になる気がしました。

娘達にどんな人生を歩んで欲しいかという想いは、ブログを始めた当初からブレることなく今に至るのですが、勉強、それも特に受験という要素が入り込んでくると、ベクトルの向きが揃わず、ボタンを掛け違えているかのような違和感をずっと抱いていました。

ですが、
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中学受験を「受験」と「勉強」とに分け、「勉強」を子育ての一環として捉える
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という一文を読み、そういう視座で子育て、教育そして受験を整理すれば良いのかと、視界が晴れた思いがしました。

加えて、
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伸び伸び過ごす子ども時代と志望校合格に向けての努力とは、決して相反するものではない
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という、以前ndkstkさんから頂いたアドバイスを具体的にどう実践していくかというヒントも上述した一文にある気がしています。

クローバー子育てと勉強のベクトルを合わせることで見えてくる中受への挑み方
クローバー勝ち負けに引っ張られることの無い「学び」を積み重ねるからこそ見えてくる中受から先のハッピーシナリオ(子育てのゴールは、子どもを単なる受験勝者にすることではない)

これまで読んだ中受本の中で、今の時点で私はこの一冊が一番好きです。

こういう本は絶版にしないで頂きたかったなとしみじみ思いつつ、以下、備忘録のメモ書きです。
 
ハイビスカス受け身になるお子さんたち(p.32-33)
あれをやりなさい、これをやってみて・・・他人からそう言われないと、自分から動き出すということをしない。
頭を使おうとしない。
そんなお子さんたちが増えてきているように思います。
塾からの課題の質と量。
これを見ることでも大体のことはわかります。
お子さんに考えさせる課題が出されているかどうか。
単に「てにをは」を変えただけの課題ばかりが出されていないか。
導入としても「てにをは」問題は必要ですが、肝心なのはその先。
基本に立ち返って原理原則から理解を組み立て直す課題が出ているかどうか。
 
 
ハイビスカス塾の課題であふれかえる前に(p.58)
年々小さくなってゆくように見える「子育ての窓」。
そして我が家が追い求めることになった「小さな受験」。
この2つに共通するポイントは、中学受験期の娘の生活の中から、「いかにゆとりの時間を確保するのか」。
この一点にありました。
子育てに効率はありません。
じっくり時間をかけ、娘を「まっとうな一人の人間」に育てあげること。
そのことと、じっくり時間をかけ、娘に「学ぶことの面白さ」を伝授しながら中学受験に備えること。
我が家が歩んできた道。
この二つに矛盾はまったくありませんでした。
 
 
ハイビスカス未知の課題に対する対応能力(p.74)
これは「地頭力」というものの本質的な部分なんですね。
教えられてできるようになるというものではない。
さまざまな経験を通して身につけるもの、というほうが近い。
そのきっかけの一つが、「ゆとりの時間を使った外遊び」にあたる、ということなのです。
例えば初見の問題。
これを「原理原則」から始めて自分の力で解いてみる。
解き方を教えてそれを「定着」させるのではなく、初見の問題を自力で解いてゆく。
中学受験の学習課題で言えば、これは「予習」にあたるわけです。
このような取り組みでも、「外遊び」と同じような効果が期待できるのです。
 
 
ハイビスカス中学受験はもっとシンプルになる(p.80~82)
中学受験で忘れさられているもの。
それは「お子さんの能力を引き出す」ということではないでしょうか。
毎日の学習課題をこなしてゆくこと。
中学校を受験するためにはもちろん欠かすことはできません。
中学受験のための学習課題。
これをお子さんたちに知識を「定着」させるだけのために使う。
もったいないことだと思います。
受験をするために欠かすことのできない学習課題なのであれば、それを逆手にとって、「お子さんの能力を引き出す」ために利用することはできないか。
 
 
ハイビスカス豊かな学びから得られるもの(p.89~91、99)
「これは何を解決すべき問題なのか」・・・これがわかるようになれば、例えば入試問題の算数も難しくなくなります。
新しい単元の学習課題。
まずは「解き方」を見ずに、さまざまな観点から自分の頭で考えさせてみる。
するとそのうちに「ツボ」はまった「ものの見方・考え方」に出会う瞬間が出てくる。
その瞬間をうまくつかまえて、「うん、それはいいところに気が付いたね」と拾い上げる。
このような学習の進め方。
それを数少ない良問にたっぷり時間をかけながら取り組んでゆく。
具体的に言うと、
① まずその単元で学習する内容がテキストの本文にまとめてありますので、その部分を理解する。
⇒通り一遍の公式の暗記ではなく、なぜそのような公式が出てくるのか。それを暗記では済ませずに、なぜそうなるのかを徹底的に掘り下げて考える。分からなければ調べてでも理解する。決して暗記では済まさない
 
② ①の学習内容を応用して例題を解いていく
⇒その際に「解き方」を隠しておく。どうやってその単元の学習内容を当てはめればその例題が解けるのか。これを「うんうん」唸りながら親子で考えていく
 
 
ハイビスカス受験と勉強に分けてみよう(p.107)
「子育て」の時間のど真ん中に割り込んできてしまう中学受験というもの。
この中学受験を「受験」と「勉強」に分けると見えてくるものがある。
この「勉強」の部分。
これをお子さんの教育の場として活用することができないか。
お子さんの持てる資質を引き出すために利用することができないか。
つまりこの「勉強」という部分を「子育て」の一環として考えてみる。
ご家庭の考え方に応じて「子育て」のあり方は無数にある。
たまたま我が家のそれは子どもの持つ「地頭力」を引き出そうというものだったのですが、この時期のお子さんたちに欠かせない「外遊び」の経験などというものとも密接な関わりがある。
「子育て」を総合的な視点でとらえてこそ、中学受験における「勉強」の持つ意味がはっきりしてくるように思うのです。
中学受験の中でも特に「勉強」という部分に軸足を置いてみる。
これは通塾されているご家庭でも「自己裁量」に任されている部分です。
塾からの課題を取捨選択して、あるいは受験勉強から「受験」の要素を切り離して時間を作り出す。
そうして作り出した時間を勝ち負けではない「勉強」にあててみる。
どうせ自学自習をしなければならないのなら、家庭学習の部分を工夫してみる。
これはお子さんの将来を考える上でも大切なことだと思うのです。