幸いにも、高校3年生の最後の大会で、レギュラーを掴み取ることができました。

イップスになってからは、頻繁に送球エラーをしており、チームメイトからもイップスと認識されてはいましたが、それでも僕の打撃力などを勝ってもらい、試合に出させてもらいました。

結果、2回戦で負けてしまいましたが、僕は2試合サードでフル出場でした。

当時の仲間には絶対に話せませんが、1試合目が始まる前から、

「早く負けたい、できることなら5回コールドで負けたい」

と思っていました。

あんなに大勢の観客の前で暴投をしたくなかったからです。

普通のサードゴロで暴投するのであれば、他の選手でもあることなのでいいのですが、内野手内でのボール回しや、牽制をピッチャーに返す時に暴投をしてしまうのではないか、と恐れていました。

結局、2試合で暴投はサードゴロをファーストに投げた時の一度だけだったので、相手チームや、観客の人からは普通の選手だと思われていたと思います。

とにかく、自分のところにボールが飛んでこないでほしい、サードにランナーが居るときは牽制しないでほしい、としか考えていませんでした。

2試合目は逆転負けだったのですが、逆転されたときは正直嬉しかったです。

やっと、この辛い日々が終わる。

やっと、ボールを投げなくて済む。

そんなことばかりを考えていました。

こんな気持でプレーしてしまって、試合に出れなかったり、ベンチに入れなかった3年生のメンバーには本当に申し訳なく思っています。

だけど、とにかくボールを投げることが怖いのです。

試合が終わったときは、ホッとしました。

やっと終わったのだと。

きっと、イップスを抱えながら最後の大会を迎えている高校球児は、少なからず思いを抱えているのではないかと思います。

目の前の試合の勝ち負けよりも、自分がいかに暴投しないか、そればかりを考えていました。

小学生の時から憧れていた高校野球が、このような形で終わってしまったのは本当に悔しいです。

もし今過去の自分に会えるとしたら「よく頑張って耐えたね。お疲れ様」と声をかけてあげたいです。