数多くの投手を救った名医の功績 長野市一歩堂鍼灸接骨院 | 長野市、須坂市の骨盤矯正・逆子・むちうち交通事故治療は一歩堂整骨院・はり灸院・整体院

数多くの投手を救った名医の功績 長野市一歩堂鍼灸接骨院

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側副靱帯再建手術、通称「トミー・ジョン手術」の権威で知られる米国人医師、ルイス・ヨーカム氏がこのほど、肝臓癌のために亡くなった。65歳だった。

 ヨーカム医師はロサンゼルス・エンゼルスで36年渡りチームドクターを務めた他、球団やスポーツの垣根を越え、多くの選手への執刀を行ってきた。日本人投手では、松坂大輔和田毅らがヨーカム医師の手術を受けた。

 損傷した肘の靱帯を切除し、正常な腱を移植するトミー・ジョン手術はもともと、フランク・ジョーブ医師が考案した術式。亡くなったヨーカム医師は、ジョーブ医師の教え子だ。

 このトミー・ジョン手術のおかげで、失いかけた投手生命を取り戻した投手には、枚挙に暇が無い。現在、マイナーから復帰を目指している松坂、和田も、この手術で命拾いをした。

 では、ヨーカム医師自身は、どんな思いでメスを握っていたのだろうか。

 手塚治虫原作の「ブラック・ジャック」は、無免許ながら天才外科医として名高いブラック・ジャックを主人公にしたヒューマンドラマだ。
 神業のようなメス裁きで幾多の患者を救ってきたブラック・ジャックだが、ときに越えられない壁にぶつかる。それはだ。
 

人間である以上、死からは決して逃れられないのだが、手術に成功しながら死に行く患者や、自ら死を選ぶ患者を目の当たりにし、ブラック・ジャックは医者である自らの存在の意味を問うのだった。

 ヨーカム医師も、一度ならずそんな思いをしたのではなかろうか。

 人間の体はもともと、物を投げるようにはできていない。投球は、人間が行う動作の中で、最も不自然で、体への負荷が大きい動作と言われている。その結果、肩や肘が悲鳴をあげる。
 ヨーカム医師らは、トミー・ジョン手術で回復を図るのだが、はたして回復した投手は、不自然で、体への負担が大きい投球を再開する。
 

これではまるで、投手がまた肘を壊すために、メスを執ったようなものではないか。

 トミー・ジョン手術には、批判の声も少なからずある。広く認知されことで、投手や関係者が手術を安易に考えるようになったとも言われている。
 

実際、術後に球速が増した投手がいることから、健全な肘にも関わらず、あえてメスを入れた大学生や高校生の投手は少なくない。
 

また、成功率が9割を超えたことで、投手本人はもちろん、球団関係者も、手術に対する抵抗が小さくなった。その結果、「壊れた投手は手術を受ければいい」とばかりに、投手をこれまで以上に酷使することが懸念されている。

 もちろん、こんなことはヨーカム医師は望んでいなかったに違いない。

 とは言え、ヨーカム医師が多くの投手を絶望の底から救ったのは、紛れも無い事実。どんな気持ちで手術を行ったのか、聞いてみたかった。

Baseball Journal ベースボールジャーナル