昔むかし、北陸地方にこじき坊主さながらの預言者がたいそう評判になった。
子供が生まれそうだとの噂を聞くとたずねて行って、
「なにやら北の方角で生き仏さまの生まれ代わりのような子供が生まれる・・
との夢を見て、尋ね歩いてきたらここのうちで赤子が生まれるという。
是非にあかんぼの人相を拝ませてくれ」と頼むという。
赤子が生まれてくるだけでも目出度い。
家族は喜んで旅の疲れを我が家で休めてくれと言い、
おいしい食事と酒を用意した。
こじき坊主は「やや、ふーむ。この赤子はまさに仏さまの生まれ変わりじゃ・・・」とうれしいことを言って
旅の路銀までせしめてしまう。
言ってしまえば、二度と出会うことは無かろうといい加減なものである。
やがてその噂が殿様の耳に入り、そんなに得の高い坊主なら会ってみたいという話になり、
地役人たちは噂を求めてかの坊主を探し求めた。
かくして、坊主は御奉行様の前の白砂で予言をさせられた。
「そのほう、よく当たる預言者じゃとの噂があるが、まことか?」
「予言を生業に民衆たちに食わせてもらっているようなもので・・、ただ極近い未来の
ことがわかるのみ・・・後は人相をすこしばかり・・」
「ほう、先のことを言い当てるか?うそいつわりを申すと為にならんぞ!
みごと当てればここにある膳と褒美の金をつかわす。この膳の椀の中身をあててみよ」
「ははっ、さあて、そのような当てものは得意とするところでは・・」
「何を申す。今予言が生業と申したではないか。それともわしを愚弄する気か
ええい、返答いたせ!事と次第によってはそのほうの首は体についておらぬぞ!」
坊主は困った。まさか適当に答えて首をはねられる仕儀になろうとは・・・今までの悪行の報いか・・
しかし、散々適当なことを言って今まで生きてこれたのだ。
そう思えば地獄に落ちてもやむを得まい。
覚悟ができれば恐いものなど何も無い。
「しからば・・・その椀の中身は・・・」
「さあ、中身は?」
「(エエイ!なんとでもなれ!) 神のみぞ知る・・・でござりまする・・・」
すると首を打たれると思っていたのが、奉行は大いに歓心し、なんと褒美をもらう羽目になった。
さあ、椀の中身はなんだったのか?・・・当ててみて。
正解は明日、発表します。