今日は京風ですなあ・・・このはんなりと御出汁に
違ーーう。
今日は強風ですなあ。
近所の落ち葉という落ち葉が舞いあがって、外に出ると風が吹き上げて
俺なんかスカートを押さえるべきなのか、かつらを押さえるべきなのか迷います。
そう言えば懺悔すべきお話を思い出しましたので懺悔します。
アレは穏やかなお天気の午後、車を運転して今度の舞踏会に着ていくドレスをオーダーした帰りでございました。
西のほうから一転にわかに掻き曇り生あたたかい風と共に分厚い雲が空をあっという間に覆いつくしたのでございます。
「コレは来る!」と感じた瞬間、大粒の雨がばらばらと屋根といい、車のガラスといい、アスファルトといい、地上にある全てモノにたたきつけてきたのでした。
私もあともう少しで我が家の電動式ガレージのシャッターのリモコンの電波が届くという場所に着ておりました。
我が家は学生の通学路になっておりまして、女子学生が学生かばんを頭に載せ既にブラウスはびっしょり濡れ
ブラジャーの紐が張り付いてのが透けて見えておりました。
うちは東京の西端の忘れられた田舎でございますので、学校も各学年一クラスという子供は村の宝物という感覚で村人全員暖かい目で見ているような環境のところなのでございます。
うちの子も中学1年になったばかりで、村の中学生といえばわが子も同然で、我が息子は他人様の家に上がり込んでは飯を食べさせていただき、帰りには財布からお金を抜いてくるというような生活をしていますので、私にはその娘が他人には見えずこう声を掛けたのでございます。
「おじさんのうち、そこなんだけど雨がひどいから小父さんの車で送ろうか?おうちはどこ?○君て知ってる?今1年でそこがおうち・・ね・・もしあれだったら・・・」
なにもやましい気持ちはございません。純粋に雨に濡れて可哀想という気持ちだったのです。
車の窓を開けて降りかかる雨を拭いもせずに女の子の返事を待ったのでございます。
ところが女の子は後ずさりしていくばかりで返事をしてくれません。まるで恐いものに遭遇したかのように首を横に振りながら、後ろに描け戻っていきました。
「何がいけなかったろう?」家に戻り鏡を見るとすだれを垂れたように前髪が顔にかかっておりましたが・・・
その晩は「今日の雨はすごかったね」などと食事時に軽い会話をするくらいで事の重大さに気が付きませんでした。
翌朝の朝食時に「あ、そういえば昨日こんなことがあって・・・・・」皆に話しますと
「それは誘拐犯とまちがえられたのよ」
「まいったなあ。お父さんは犯罪者顔なのかなあ。マンションなんかのエレベーターに乗るとこんな痴漢が出ましたって注意書きが貼ってあるのを見るとまるでお父さんそっくりなんだよな、参るよ全く」
「今日僕、学校に行ったら先生に言っておくよ、女の子に申し訳ないことをしたってパパが言ってたって」
「なんか、すまんなあ」
学校に行くと朝礼があり「昨日一本杉地区を下校途中の学生が不審な中年の男性に声をかけられるという事件がありました。幸いにして女子高生は機転を利かして逃げましたので事なきを得ましたが皆さんも・・・・」
朝礼が終わって教室に行って子供は先生に開口一番申し上げたそうです。
「先生!今朝の校長先生の話の男は僕のお父さんです!」
その夜、学校から謝罪の電話を戴きましたが、もともとこちらには何の悪意もございませんので学校の謝罪も笑い話なのでございますが、ただただ私としては自我の目覚め始めたばかりのわが子に申し訳ない気持ちでいっぱいのでございます。
神様。きっとわが子は全校生徒の前で父の誤解を解かなければならない辛さを感じたでしょう。
ここに懺悔します。どうぞ忌まわしい私の顔も合わせてお許しください。
あの時はほんとに疚しい心は・・・かけらひとつも・・・なかった・・・ので、ございます・・・・