「悪い人じゃないんです」



そう言ったすぐあとに
こう続く人が本当に多い。


「でも会う前の日だけ
なぜか胃が重くて」


その重さを
みんな「神経質なだけ」と片づける。



でも、それ神経のせいじゃないです。




セッションで多いのは
こういう相談です。


「条件はそろってるのに
気持ちがついてこない」



そういうとき
私はまず体のことを聞きます。


「会う前の日
体のどこかが重くなりませんか」


たいてい少し黙って
胃か肩を指さします。



きょうはその重さを
サインとして読む話をします。



後半に
体からの答えを拾うワークを
2つ置いていきますね。



まず
2021年のイギリスの実験から。


サセックス大学のクアットさんが
試したのは変わった練習でした。



やることは
自分の心拍を当てるだけ。


目を閉じて
いまの心拍数を当てにいく。


答え合わせをして、またやる。


それを6回くり返しただけです。


体を鍛えたわけじゃない。

考え方を変えたわけでもない。


なのに参加した人たちの不安が
はっきり下がりました。


別の訓練をしたグループより
ちゃんと下がったんです。


心拍を当てる練習をしただけで
不安のほうが動いた。



で、これがめちゃくちゃ面白くて。


効いたのは
感覚を鋭くしたことじゃない。


自分が思っている体と
実際の体とのズレが縮んだこと。


そこが効いた。


訓練していたのは体じゃなく
気づきのほうだったんです。


体の声が小さいんじゃなくて
聞きに行ってなかっただけ。


去年、ロンドンの大学の
グリーンウッドさんたちが
この話をまとめています。


感情って
心で起きてから体に出るもの。


そう思いますよね。


でも順番は逆でした。


胃や心臓や呼吸の変化が先にあって
それを脳が読み取るところから
「不安」や「うれしい」が生まれる。


要するに
胃の重さは感情の結果じゃない。


先に出ていた答えのほうです。


頭が「いい人だと思う」と
考えるより早く
体はもう返事をしていた。


だったら結論を出す前に
体の返事を見にいけばいい。


もうひとつ。


オーストラリアにいる
ヴァン・バエルさんが
たくさんの研究をまとめました。


その結論がこれです。


自分の気持ちがわからない人ほど
体の感覚も「よくわからない」


ざわざわはするけれど
それが何なのか読めない。


逆に、体と気持ちが
つながっている人ほど
自分の感情に名前をつけられる。


気持ちがわからないのは
心が鈍いからじゃない。


体という入口を
素通りしているだけです。


心の問題に見えて
入口はいつも体だった。


日常でいうと、こういう場面。


送信ボタンを押す前に
肩がすっと上がる。


断りたい誘いに返事を書きながら
喉のあたりが詰まる。


逆に会う約束をした瞬間
肩の力が抜ける相手もいる。


ぜんぶ答えです。


胃の重さは
体から届いた通知なんですよ。


好きかどうか
頭で何回考えても決まらない。


そのあいだも体は
毎回おなじ返事をしています。


条件がいい人ほど
断る理由が見つからない。


だから頭は「いい人」と言い続けて
胃だけが重くなっていく。


迷いって
情報が足りないから
起きると思われがち。


でも足りないのは情報じゃなく
体を見にいく時間のほうです。



あなたが優柔不断なんじゃない。


体はとっくに手を挙げてるのに
意識がそっちを見ていないだけ。


体は嘘がつけません。


頭のほうは、いくらでも言い訳します。

相手を疑わなくていいんです。



自分の体を見にいくだけ。




きょうからできることを2つ。


ひとつめは
「決めたふりを10分」


迷ってる二択のうち
断るほうに決めたと言い切って
そのまま10分すごす。



洗い物でもスマホでもいい。

そのあいだ
胃と肩だけを見ておきます。


重くなるか、軽くなるか。


10分たったら
今度は受けるほうに決めて
また10分。



選ぶのは軽かったほうです。



考えても答えが出ないのは
答えが言葉の側にないから。




ふたつめは
「体の天気予報」


1日3回
胃・肩・喉の3か所だけ
重い・ふつう・軽いをメモする。



気持ちに名前はつけなくていい。


「イライラ」も「不安」も
いりません。



場所と重さだけ。 


天気予報なので
当たっても外れてもいいんです。



1週間ならべると見えてきます。



たった1週間で十分です。



誰といると肩が軽いのか
どのやりとりで胃が重いのか。


自分の記録として残るので
あとから言い訳ができません。



占いより当たりますよ、これ。


体はいつも先に返事をしている。


そこに、あなたの答えがあります。



あとは見にいくかどうか
それだけです。