「まさか…」

新居田は煙草を踵で踏み消し、
苦い物を飲み込んだような顔を上げた。

「そのまさかだ。妻は、バラバラにした夫を
缶詰にしちまったらしい。飼い犬にあげるつもりでな。
犬の餌ぐらいにしかならない男なんです、ってさ」

新井田はテリーの頭を優しく撫でた。
まるでそうする事で、嫌な思いを振り切れるかのように。

「本当かどうか確かめにゃならんからな。
台所から缶切りを持ってきて、俺は缶詰を一つ、手に持った。
たかが缶詰を開けるのが、これほど嫌だったことは無いな。
開けた缶詰の中身はな、確かに夫の肉に間違いなかった。
それ以来、俺は缶詰が開けられなくなったんだよ」

新居田は今にも吐きそうな顔だ。
「で、でもそれが旦那の肉…うぇ…
遺体かどうか直ぐに判ったんすか」


「ああ。判ったんだ。
普通、ドッグフードには目玉や髪の毛は入っていない」