国家公安委員会、防衛庁、総理府による合同対策本部が立ち上げられた。

だが、せっかく掛けられた看板は一日を待たずして外される事になった。

羽賀幸四郎が自首してきたのである。
羽賀は、まだ4つのカバンを所持していた。それら全てに、プラスチック爆弾が大量に詰まっていた。

多数の被害者を出した犯行でありながら、羽賀には厳重な身辺警護がついた。
国民の暴動を恐れたのである。

そして、警視庁の一室で取調が始まった。

羽賀は取調官に対し一礼し、淡々と話し始めた。

「私は、三年前に脳の手術を受けました。軽い血栓があったと聞いてます。手術自体は成功したのですが、思わぬ後遺症が残りました」

担当官は羽賀を一瞥した。
「どこも悪くないように見えますが」

羽賀は伏せていた顔を上げ、担当官を見つめた。一瞬、右目が不思議な色に輝く。

「外見上は何の異常もありません。私は、未来を予知できるようになったのです」

「はぁ?予知能力?」

羽賀は、担当官の馬鹿にした態度を咎める事無く、話を続けた。
「どう思われても構いません。事実なのです。そして私は、息子の未来を予知してしまった」

五へ