山の秋が終わろうと
していた。
この季節から山には
しばらく行っちゃ
いけないって、お母
さんに言われてた。
もう熊は居ないけど、
冬山は何があるか
判らないからって。
僕も今年は今日で最後
にするつもりで
出かけた。
いつものように
熊ジジィの家に行く。
そろそろ天狗が吠える
はずだ。
ところがその日に
限って天狗は吼え
なかった。
天狗は家の中で
悲しげに鳴いていた。
僕は恐々、家の中を
覗いてみた。
天狗がいた。
「どうした。天狗?」
その時、僕は気付いた。
熊ジジィが寝ていた。
「…なんだ、前田の
クソガキか。今日は
相手してやれん。
はよ帰れ。」
「熊ジジィ。どした?」
「うるせぇな。風邪だ
風邪。熱が出やがった」
苦しそうなジジィを
見て、僕は自分でも
おかしいんだが、
何とかしてあげたく
なった。
僕は熱冷ましに効く
野草を探した。
お母さんがいつも僕に
使ってたから、すぐに
判った。
熊ジジィにそれを
渡した時、僕は
びっくりした。
熊ジジィが涙をこぼ
したんだ。
草を採る時、ちょっと
傷ついた僕の手に涙が
落ちた。
何か言おうとした僕の
頭をゴツい手で撫で、
「ありがとよ。気を
つけて帰んな。」
と言ってくれた。
もっと驚いた事に、
天狗が家まで送って
くれたんだ。
していた。
この季節から山には
しばらく行っちゃ
いけないって、お母
さんに言われてた。
もう熊は居ないけど、
冬山は何があるか
判らないからって。
僕も今年は今日で最後
にするつもりで
出かけた。
いつものように
熊ジジィの家に行く。
そろそろ天狗が吠える
はずだ。
ところがその日に
限って天狗は吼え
なかった。
天狗は家の中で
悲しげに鳴いていた。
僕は恐々、家の中を
覗いてみた。
天狗がいた。
「どうした。天狗?」
その時、僕は気付いた。
熊ジジィが寝ていた。
「…なんだ、前田の
クソガキか。今日は
相手してやれん。
はよ帰れ。」
「熊ジジィ。どした?」
「うるせぇな。風邪だ
風邪。熱が出やがった」
苦しそうなジジィを
見て、僕は自分でも
おかしいんだが、
何とかしてあげたく
なった。
僕は熱冷ましに効く
野草を探した。
お母さんがいつも僕に
使ってたから、すぐに
判った。
熊ジジィにそれを
渡した時、僕は
びっくりした。
熊ジジィが涙をこぼ
したんだ。
草を採る時、ちょっと
傷ついた僕の手に涙が
落ちた。
何か言おうとした僕の
頭をゴツい手で撫で、
「ありがとよ。気を
つけて帰んな。」
と言ってくれた。
もっと驚いた事に、
天狗が家まで送って
くれたんだ。