「さて、ベイ。お前がまさか日本に居るとはな。
もっと早くに判っていたら、無駄な出費をせずに済んだのに。
だが、それも今宵限りだ。
もういいだろ、今日、ここをお前の墓場にしてやる」

店長の口調ががらりと変わった。
滲み出るオーラも変わる。
先ほどまでの呑気で陽気な雰囲気は霧散し、
代わりに店長が纏ったのは、絶対的な殺意。
それを察したか、ビクターとジャックが店長の前に
立ちはだかる。

「ふむ。敵わぬまでも一矢報おうと言うのか。
結構結構。部下というものは、そうでなくてはならぬ。
ねぇ、麻理ちゃん、十字架持ってる?」

「あ、はい。うちの商品ですけど、十字架付きの指輪してます」

「あぁ、あれね。GJ。あれ、ちゃあんとバチカンの洗礼受けてるからね。
小さくても凄く効く筈だよ。ベイが近づいたらそれで殴ってやんなさい」

「…あの、もう殴りました」
照れくさそうに告白した麻理をしばらくポカンと口を開けて見つめ、
店長は爆笑した。

「すげぇな、うちのカリスマ店員は。そうそう、そいつの目にだけは
注意して。体の自由奪われるからね」

「…それも経験済みです。こいつ、いや志郎さんが殴って意識を
取り戻させてくれました」

「ども、安倍志郎です。初めまして」

ぴょこんと頭を下げる志郎を店長は、またもや口を開けて見つめた。
「君が?殴って意識を?おっかしいな、普通、そのぐらいでは
どうしようもないんだけど。君、何かの能力者?」

志郎が首を傾げながら答えた。
「いや、能力って言っても…そろばん一級ぐらいしか…」

「ふうん。ま、いいや。麻理ちゃんを助けてくれてありがと。
これ終わったら牛丼でも奢るよ」
のんびりした会話を続ける店長に隙有りとでも思ったか、
まずはジャックが遅いかかってきた。