今日はろくな事が無い。
自転車がパンクした。
MDも壊れた。
鞄のストラップが切れた。

なんだよ、一体。
俺は誰に言うとも無く、文句を垂れ流しながら
家に戻った。

「どうしたの?」
出迎えた妻が話しかけてきた。

俺は不貞腐れた表情のまま、不満を述べた。

「…不思議ね。それって、共通点があるわよ」

「共通点?何それ」

「自転車もプレイヤーも鞄も。全部新しく買い換えるって
決めたじゃん。先週、注文したでしょ?」

あぁそうか。俺は納得した。
古くなったせいもあるが、もっと機能が良くて
安い物がネットで購入できる時代なのだ。
そう言えば、壊れた物全てが買い換えると
決めているものばかりだ。

「ふん。そんなもんかね」

「そんなもんよ。…ねぇ、最近さ、あなた
心臓の調子とか血圧とかどう?」

「何?いきなり」

「…あたしもね、買い換えることにしたの。
新しいロボットが安く手に入るのよ。
もう注文しちゃった」

「はぁ?」

何を言ってるのだ、この女は。
誰がロボットだという。俺は人間だ。

「あ。来た来た。早かったわね」

宅配便が大きな荷物を運んできた。
妻がその荷物を開けた。
中から出てきたのは、俺そっくりの人形だ。

「顔は良いのよ、このままで。中身をもう少し
バージョンアップしちゃった」

だから何を言ってるのだ、この女は。
うわ。動きだした。俺が、俺が動いている。

「今までありがとね。えぇと…リモコンは、と」

見たことも無いリモコンを妻が持っている。
それを俺に向けた。

「やめろよ。おかしな冗談は!やめろってば!
やめ