(何だ?一体何が起こった?!)
周りを見回したが、誰も居ない。誰かを呼ぼうと思ったが、
その間にもショーンは車に押し込められようとしている。
彰宏は思い切って走った。
幸いにもトランクルームが開いた。
持っていたスケッチブックにSOSと殴り書きして地面に置く。
体を滑り込ませた途端、車が飛び出した。

何十分か走り、車が止まった。
トランクルームを薄く開けて、街並みを見る。
彰宏が見たことのある場所だった。
母親のバイト先がこの辺りにあるはずだ。

車の男達は、暴れるショーンを抱き、倉庫の中に入って行った。
彰宏は、トランクルームを抜け出し、倉庫の外側に付いている非常階段に
向かった。
音を立てないように、そっと上がる。二階の窓から中が良く見えた。
ショーンが居る。椅子に縛り付けられている。
窓を開け、中に入り込んだ。
声が聞こえてきた。早口でスラングだらけの英語だから、全てを
聞き取ることは出来ない。
それでも、男達の目的が金だけでは無い事が判った。
しきりに父親への復讐と繰り返している。
戦争、武器の商人という言葉も聞き取れた。


九へ