さてさて、どうしようかな…
お腹空いたな。
既に時計は11時を回っている。
とりあえずご飯を食べよう。
そう決めた途端、歩美の頭の中に、つくね亭が浮かんだ。
確か、昼もやってるって書いてあった。

着替えて玄関から出るのに10分もかからなかった。
ほとんど素ッピンだが、美味い物を食べるのに
化粧なんていらない。
そう勝手な理屈をつけて歩美は、雪の中を歩き始めた。

時々空を見上げる。
落ちてくる雪を見ていると、空に吸い込まれそうになる。

見えた。
白い雪をかぶった、黄色い熊。
この雪のせいか、今日は花を持っていない。

『本日の昼のお勧め。寒いから温かい品を揃えました。
鍋焼きうどん・豚汁・つくね流グラタン』

ゴクリ、と喉が鳴る。
暖簾をくぐろうとした、その瞬間、携帯が鳴った。
母からだった。

「はい。母さん?どうしたの」

『あーちゃんかい?あんた今日暇?』

「うん、会社休みだけど。どうしたの」

『ばぁちゃんが入院してね。あんたもお見舞いに来なさい』