日本。
どういう国だと問われたら、ほんの少し前までは、こう答えていたと思う。
四季に恵まれ、義理人情を大切にし、和の心を尊ぶ国である。
今、同じことを訊かれたら、この答は正解とは言えないかもしれない。
今月4日、福岡地裁久留米支部の第1号法廷。
手押し車で体を支えながら、一人の老婆が入ってきた。
91歳になる老婆は、介護していた次女(当時61歳)を殺害したとして
承諾殺人罪に問われていたのである。
老婆は涙で震える声を振り絞り、己の罪を詫びた。
事件が起きたのは、昨年の7月30日午後9時頃である。
福岡県立花町にある自宅で、承諾を得た後、
次女に睡眠薬を飲ませ、ビニールひもで首を絞めたとされている。
直後、自らも睡眠薬を飲み、ビニールをかぶったが、死にきれなかった。
次女は夫を亡くしてからは、ずっと精神科に入退院を繰り返していたが、
一昨年の正月に一時帰宅した折り、病院で虐められていると訴えた為、
周囲の反対を押し切って母親は自宅に引き取ったのだという。
「一緒に参ろうか」
母は最後に、そう話しかけた。
検察側の求刑は懲役四年。91歳という年齢を考えると、死刑に等しい。
人生の終わりがけに、我が子を手にかけなければならなかった心を想像すると息が詰まる。
自民党でも民主党でも、どちらでも構わない。
こんな悲しい人生を送らなくて済む党はどっちなのだろう。
日本。
どういう国だと問われたら……