素敵な人に出逢った。

想像も出来ない壮絶な時を乗り越えてきたくせに、朗らかに笑う人だ。

立ち塞がる壁に爪を立て、噛みつき、必死で逆らい続け、とうとう穴を開けた人だ。

介護関連の仕事に就いているその人が、まず考えるのが『らしさ』と『こだわり』だと言う。

介護を受ける人達が、最後の最後まで『その人らしさ』と『人としてのこだわり』を持ち続けていられる、そんな難しい、けれど一番大切なことに挑戦している人なのだ。

言わば、真っ直ぐに立つ樹のような人だ。
根っこが複雑な分、吸収してきたものも多いのだ。
汚いものや悲しいことを全て肥料に変えてきたのではなかろうか。

だからこそ、その木陰は限りなく優しいのだ。


俺達夫婦が最も好きな種類の人間だ。

そして、大抵の場合、そんな人は目が良い。

力に溢れた目だ。

その目に俺も嫁はんも励まされ、パワーを貰った。

さてと、負けられない。
とりあえず俺は書く。

書くことが俺らしさであり、ようやく見つけた魂の根っこだから。

その根から、いつかは大きな樹が育つと信じて。