その夜、麻由美は忠男の車の中から、彼の妻である友恵の髪の毛を手に入れた。

麻由美は黒いロング。忠男は短髪である。

だが、友恵は絶対に見間違える事の無い下品な色のパーマヘアーだ。

いよいよだわ。
ようやく、あの人はあたしのものになる。

気もそぞろに帰宅した麻由美は、藁人形の箱を取り出し、もう一度マニュアルを読み始めた。
マニュアルの最後に

『喪黒商会の即決藁人形は、その名の示す通り、一晩で決着がつきます。
御使用の際は、くれぐれもお間違いの無いように。
なお、商品の不良に関しましては、一週間以内に交換・返品が可能です。』
と書いてある。

良心的…そう思いかけて笑う。
良心的な藁人形なんて。

夜中の二時になった。

白装束に着替える。
頭に蝋燭を立てる。
良心的な藁人形らしく、場所は選ばない。
自宅でも良いらしい。

五寸釘を頭に突き刺すのが一番確実。

よし、あの女の毛は埋め込んだ。

いよいよだ。

呪詛の言霊を放ちつつ、麻由美は手に持った五寸釘を藁人形の頭に刺した。

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