「やったーっ!」
茜が叫びながら太郎丸に近づく。

「やった、やった太郎…丸」
太郎丸は動こうとしない。

「ねぇ。太郎丸っ!どうしたのよ、目を開けなさいよ!
ちょっと、ふざけんなよ、起きろよっ!太郎丸!」
ゆさぶり続ける。

「…あ、かね、」
うっすらと太郎丸が目を開けた。

「太郎丸っ!どうしたのよ、どっかやられたの?!」

「違う…」

「じゃ何よ!」

「腹へった」

「…はぁ?」

「腹へったよ」

「ばっ!ばっかじゃないのあんた!心配して損した」
抱えた手を離す。

「韋駄天、おばばの丸薬を寄越せ」
韋駄天の首に巻いた包みから、黒い丸薬を取り出した。

「何それ?」

「無理した時に飲むと、回復が早いんだ。苦いから好きじゃないけど」

「そんなに苦いの?」

「あぁ。すげぇよ」

「…甘くしてあげようか」

「…そんなこと出来るのか?」

「できるよ」
言うが早いか、茜は丸薬を自らの口に入れ、
太郎丸に口移しで飲ませた。

韋駄天が目を逸らして見ないふりをした。