「熊さん、お待たせっ!やっと入荷したよっ!」
つくね亭に出入りの魚屋・ヤマちゃんだ。
熊は毎朝、市場に出かける。
基本的に彼は、自分で選んだ物しか信用しない。
だが、同じ町内にあるヤマちゃんだけは違った。
熊は仕込みの手を休めた。
「やっと入荷ってことは?アレかいヤマちゃん」
「そ。これなら熊さんのお眼鏡に適うだろ」
自慢げに持ち上げた魚は、あまり日本では見かけたことがない。
チョウザメだ。皇帝の魚と呼ばれ、世界的に名高い高級食材である。
熊さんの人柄と腕に惚れこんだヤマちゃんが儲け抜きで卸しているのだ。
その代わり、只で食べさせてもらう。
刺身、寿司、バッテラ、マリネ、ムニエル、塩焼き、照焼き、
西京焼き、蒲鉾、燻製、鍋物、何でも有りだ。
「じゃあ、今日の付きだしは白子と…湯引きした皮にしますか」
「最高。ちょっと食べてっていい?」
「仕事は良いんですか?」
訊くだけ野暮であった。
ヤマちゃんは既に、バイトのメイシス君に生ビールを頼んでいる。
チョウザメをぶら下げて、歩いて来たのはこれが理由だ。
「昼間っから極楽っすね」
「極楽に昼も夜も無いのよ。うーん…絶品。んじゃまた
夜来るね、よろしくーっ!」
バタバタと慌しく帰っていくヤマちゃんは、しっかりと
生ビールだけは飲み干していた。
二へ
つくね亭に出入りの魚屋・ヤマちゃんだ。
熊は毎朝、市場に出かける。
基本的に彼は、自分で選んだ物しか信用しない。
だが、同じ町内にあるヤマちゃんだけは違った。
熊は仕込みの手を休めた。
「やっと入荷ってことは?アレかいヤマちゃん」
「そ。これなら熊さんのお眼鏡に適うだろ」
自慢げに持ち上げた魚は、あまり日本では見かけたことがない。
チョウザメだ。皇帝の魚と呼ばれ、世界的に名高い高級食材である。
熊さんの人柄と腕に惚れこんだヤマちゃんが儲け抜きで卸しているのだ。
その代わり、只で食べさせてもらう。
刺身、寿司、バッテラ、マリネ、ムニエル、塩焼き、照焼き、
西京焼き、蒲鉾、燻製、鍋物、何でも有りだ。
「じゃあ、今日の付きだしは白子と…湯引きした皮にしますか」
「最高。ちょっと食べてっていい?」
「仕事は良いんですか?」
訊くだけ野暮であった。
ヤマちゃんは既に、バイトのメイシス君に生ビールを頼んでいる。
チョウザメをぶら下げて、歩いて来たのはこれが理由だ。
「昼間っから極楽っすね」
「極楽に昼も夜も無いのよ。うーん…絶品。んじゃまた
夜来るね、よろしくーっ!」
バタバタと慌しく帰っていくヤマちゃんは、しっかりと
生ビールだけは飲み干していた。
二へ