都で起こる何事かが、天海復活の要になる。
恐らくそれは容易ならざる出来事に違いない。
事実、異国の者の口から恐るべき言葉が滑り出て来た。
「来島による焼き討ちは、成功間違いなかろう。
既に 四天王が東西南北に待機しておるからな。
都が滅びると同時に、天海様が復活されるのだ」

先生は、その場をそっと離れた。
都に住まう人々には、特に何の感情を抱いてはいないが、
その町並みを先生は深く愛している。
何よりも、十さんとの思い出の寺が焼き落とされるのを
黙って見ているわけにはいかない。

「やれやれ、せっかく引越したのにな」
ぼやきながら、一反木綿と共に油すましが潜む場所に戻った。
事情を説明し、飛ぶように廃寺に帰る。
仲間達を道連れにするわけにはいかない。
いずれ一癖も二癖もある連中ばかりだが、決して強いわけではない。
闘うのは自分だけでいい、先生はそう決めていた。

だがしかし、先生の話を聞いた妖怪達は猛然と反抗した。
皆、先生が大好きなのだ。
いつも軒先で寝てばかりいる猫にしか見えない先生だが、
ひとたび仲間に何かあれば、命を投げ出して闘ってくれるのだ。
世話にならなかった者は居ない。
臆病なべとべとさんや、いつもは後ろに隠れて出てこない
ぶるぶるまでもが名乗りをあげた。

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