絶叫しているのが自分だと気づくのに2分は掛かった。
プルートを手荒に追い払い、赤ん坊を抱き上げる。
微かに息をしている。
辛うじて間に合ったのだ。

ホッと胸をなで下ろした政子の胸に、激怒が代わりに溢れてきた。


「プルートッ!どこよっ、出て来なさいっ!」

政子の怒りを嘲笑うように、プルートが足元をすり抜けて窓辺に向かった。

「どういうつもりっ?!」

身を翻したプルートは、掴みかかろうとする政子に飛びつき、顔面を掻きむしった。

「うげぇっ…」

流れ落ちる血液に視界を奪われ、政子はよろめいた。

二、三歩進んだところで手すりにぶつかり、そのまま後ろ向きに落下した。

だが、政子は直ぐには死ななかった。
彼女が落ちた先は、コンクリートを打ったばかりの深い穴だったからだ。

落下の衝撃で底面近くまで潜った政子を包み込むように、大量のコンクリートが押し寄せる。

指一本動かせぬ政子の周りで、コンクリートが徐々に固まっていく。

絶叫しようとした政子の口にコンクリートが入り込む。

窒息するのが早いか、意識が無くなるのが早いか。
たった2つの選択肢が政子に残された。
完へ