まっさんの言葉通り、シルバーを飼ったことで岡本の生活が変わった。
投げやりな態度が無くなったのだ。

家族を失った岡本にとって、今やシルバーは何よりも大切な存在になっていた。

酒もタバコも量が減った。
臭いを嫌うシルバーが止めるのだ。
散歩を繰り返すうち、岡本のむくんでいた体も引き締まってきた。

夜は寄り添って眠る。
その温もりが岡本に着実に精気を取り戻させた。

「岡本さん、あんた犬飼うて正解やったな。なんや、シルバーはあんたの嫁はんみたいや」

まっさんにからかわれる。
岡本はニコニコとシルバーの頭を撫でている。

「そや、ちぃとな、物騒な連中がうろちょろしてるみたいや。気ぃつけや」

「物騒な連中?」

まっさんの柔和な顔が険しくなる。
「そや。集団でホームレスを襲うクソガキどもや。弱い者を攻撃することで自分らが強いと思とる。クズや」

まっさんはシルバーの頭を撫でた。
「もっとも、岡本はんにはシルバーが居てるからな、安心や」

「こいつは足が悪いですからね。守ってやるのは私の仕事だ」

「そらそうやな」
笑う二人をシルバーが嬉しそうに見上げていた。

六へ