五月三十日(金)晴
お母さん、今日、誕生日でした。
パパがくれたプレゼントは赤い聴診器。
どうするの、これ?って訊いたら、これをお腹に当ててみなだって。
お母さんね、自分のお腹に聴診器当ててみたの。

そしたらね。
そしたら、愛海ちゃん。

あなたの心臓の音が聞こえてきました。
とくん、とくんって。

とっても小さな音だったけど、愛海ちゃんは私の中で
生きて頑張ってました。

そうだ。
この聴診器、大切に残しておこう。
もしも愛海ちゃんがこの先、悩んだり迷ったりしたときは、
この聴診器で体の声を聴かせよう。

辛くて、一歩も歩けそうもなくて、顔を上げることもできない。
そんな時でも、心臓は動いてる。
一生懸命、頑張って動いてる。
弱ってるのは心だよ。
勝手に弱がってるのは心なんだ。
おろおろと泣いてる時でも、心臓は動いてるんだよ、愛海。


…母さん。

母さん。
あたし…あたし
聴診器、あててみよう。

とくん

とくん

とくん

母さん。
あたし、生きてます。
ごめんなさい、母さん。
あたし、生きてるんだよね。

涙乾いたら、花、買ってくるね。