部活動に熱心な娘は、いつも帰宅が遅い。

年頃の娘である。
心配といえば心配だが、彼女は少林寺拳法の使い手である上に、父親直伝の技を教えこんである。

(ちなみに『一撃を浴びせ、相手が怯んだ隙に全力で逃げてコンビニなどに駆け込み110番通報』という連続技だ)


それよりも心配なのは、一人で夕飯を食べなければならないことだ。


昨日は、餃子と麻婆大根である。
自分で餃子を焼かなければならないのだ。

嫁はんは若様を風呂に入れている。
俺は俺で手が離せない。

大丈夫かな
上手く焼けたかな
びちゃびちゃになってないかな

もそもそ食べてるから大丈夫とは思うが


「お父さん」

なにかな

「今度ね、友達が来ます。お菓子作るからオーブン貸して欲しいんだって」

ほほう
そりゃまた豪儀な

…あ。あのさ、父は居てもいいのかな


「なんで?」

や、例えばだね
想像してみ
友達と仲良くお菓子を作ってるところに、突然、のそのそと熊のような男が入って来たら


「一撃を浴びせ、相手が怯んだ隙に全力で逃げてコンビニなどに駆け込み110番通報」

うんうん上出来上出来

「お父さんの分も作ったげるね」


はうっ
一撃をくらったよーん