「みんな、ありがとう
。クロ、助かったよ。
それと、アム。
ありがとう。足は
痛むかい?」

桜色の光でアムの
傷を治しながら、
先生はイブに戻った。

「さて、と。福やん。」

「ええ。先生。」
二人は神妙な顔つき
で綾の前に座った。

「長い間、お世話に
なりました。」

きょとん、とする綾。

「どこか行くの?」

「え。だって私は
猫又で、福やんは
ケルベロスなんです。」

「ええ。そうよね。」

「そうよねって…」

先生と福は顔を
見合わせた。
「あなた達が居なく
なったら、誰が私を
守ってくれるの?」

え。だったら!
と二人の声が揃った。

「今まで通り、イブと
福でいてください。」

「ね、先生、だから
言ったでしょ。綾さん
なら判ってくれるって。」

「それを言ったのは
私だ。」

二人が笑う。
綾も笑っていた。
けれど皆、涙を
流していた。

きゃー姉さまが
ここに居ない事が
たまらなく寂しかった
のである。

振り切るように
綾が言った。

「あ、福。」

「はい。何か。」

「頭三つある時は、
どれを撫でたら
いいの?」

皆が笑った。

家の中からも笑い声
が聞こえてくる。

「さ、帰ろ。イブ、
福。」

「にゃあ。」

「わふ。」



イブは、今夜は
きゃー姉さまの
寝床で寝ることに
した。


まだ温もりが残って
いるかもしれない、
そう思ったのである。