(違う!)

声には出さず、樹林の口が『ろ・く・お・ん』と動く。

「ボ・ス・ト・ン?」

『ろ・く・お・ん!』

「ホ・ル・モ・ン?」

「録音でしょ?」

そうそう、録音って言ってんだよと樹林。

なんだそうかと多中。

勘が鈍いよと縄谷。

いやぁ、あれは判りづらいよねと赤マント。

四人が見つめ合ってシミジミと頷く。

…×20の時が過ぎた。

「うっわぁぁぁぁぁっ!」

「どっしゃぁぁぁぁっ!」

「のぇぇぇぇぇぇっ!」

「がちょ~~~んっ」

…このまま悲鳴を続けてもらうと書く方は大変楽なんだが、切りが無いからここら辺で。

「あ、あんた誰だよ!」
樹林の指先でクラビッツちゃんが震えながら赤マントを指した。

「あ、どうもどうも。わたくし、こういう者でございます」
長い髪の毛を掻き上げながら、マントの中からスチャッと名刺が差し出した。

「あ、どうも」
樹林が両手で押し抱くように受け取る。
社会人の基本だ。

黒い名刺である。
真っ赤な14ポイントの明朝体で
『本家・怪人赤マント』とだけ描かれてある。
結構、お洒落な名刺だ。
「赤マントさん…ですか。」

「はい、本家赤マントです」

にこにこ。